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予備試験論文式試験を突破する方法を考える(総論のみ)

こんにちは。

 

だいぶ前に、「予備試験短答式試験を突破する方法を考える」という記事を書きました。

それ以降自分自身の試験対策で手一杯となってしまっていましたが、一応落ち着いたということで論文式試験についても少しだけ書いておこうと思います。

 

といっても、具体的な方法論(各科目どの教材を使えばいいか等)はもっと優秀な方の情報をご参照頂ければ十分です。

この記事では、残り期間が僅かとなった予備試験論文式に向けて留意していただきたい総論的なことをまとめておきます。

 

1.得意を伸ばすより苦手をなくすことに注力すべき。

予備論文は、単体科目の爆発力よりも全体でのバランスが重要です(科目の満点が50だからです)。とにかく、平均以下を意味するD-Fをとらないようにする勉強を心がけてください。

最優先は、おそらく初めて臨むことになる法律実務基礎科目。次は苦手意識のある科目です。他の科目は、知識をいつでもリカバリーできる状態にしておけば大丈夫です。

 

2.最大公約数的な思考のリスクを把握する。

ネットで適当に検索をかければ、上位合格者の使用教材や勉強法がわんさか出てきます。そうすると、「みんなが言ってることの共通点だけ絞ってやれば最短合格ルートじゃないか?」という考えに至ります。この考えを「最大公約数的な思考」と定義することにします。

たしかに、選択と集中という方法論にかなった、非常にスマートでカッコイイ思考ではあります。しかし、デメリットを理解しないと芳しくない結果を生むことになります。

よく淘汰の対象になるのが百選・基本書・演習書・ローの授業ですが、なぜ合格者がそれを必要なかったと言っているのかをきちんと把握していますか?

大抵の場合、①その年の試験で役に立たなかった➁他の教材で既に目的を達していたというのが理由です(明示されているかは別として)。これらは、その方法論を発信している受験生にしかあてはまらないものです。

つまり、受験生の位置によって何が必要で何が不要かは全く違います(当たり前ですが)。最大公約数的な思考は、受験者の地位が抽象化されるためこの点がぼやけやすくなります。盲目的にこれに従って最初から切り捨てた場合、1で述べた穴を埋めることができないまま試験に臨むという状態になりかねません。自分の実力に自信があり、かつそれを裏付ける事実があって初めて意味のある思考方法といえます。

情報の質が上がった昨今、意識すべきはその情報の使い方でしょうね。

 

3.「復習」と「繰り返しやる」は違う。

法律実務基礎科目は勿論、他の科目についても演習書等を利用して論点の把握にいそしでおられることと思います。特に、テキストを繰り返しやることで試験に備える方が多いでしょう。

「繰り返しやる」とは、テキストを高速周回して1周ごとの記憶よりも繰り返した結果内容が記憶に定着することを狙うものです。インプットの王道ですね。

しかし、これは「復習」していることにはならないので気を付けてください。「復習」は、その日に自分が何を学んだか振り返り、次の日に前日学んだことを思い出す作業です。

「繰り返しやる」だけでは、記憶の定着に時間がかかりすぎ、可処分時間を無駄に使ってしまいます。

是非、毎日「繰り返しやる」ことの後に「復習」の作業を入れてください。目的達成に必要な時間は大分減るはずです。

 

「これまた当たり前のことを」と思うかもしれません。しかし、勉強計画をこなすことに専心している方ほどその日の「復習」を怠りやすい(私自身がそうです)。「繰り返しやる」のは、本来的には「また忘れるのが怖いから」であり、それは各周回での記憶作業から逃げていることのあらわれでもあります。

 勉強一般に関していえば間違った手法ではありませんが、準備期間の短い予備論文との関係では相性が良くありません。もしその日の振り返りをしていなかった場合は、布団に入ってからでも頭の中で「復習」をしてみてください。

 

4.答練を受けるなら目的をきちんと意識する。

過去問の蓄積に伴い、時間と費用のかかる答練の重要性は徐々に低下しています。答練の受講を考える場合は、何故答練を受けるのかきちんと考えましょう。

答練を受ける目的を挙げるならば、➀起案のペースを維持する②論点を覚えているか確認する③第三者に答案を見てもらう機会を確保する④自身の相対的位置を知る⑤未出題論点を把握する の4つでしょうか。

➀②の場合、答練を受ける必要はありません。特段の事情がない限り、自分自身で過去問を起案する機会を設けることはできるはずです。また、論点を書けたかどうかは論証集の確認によって自己添削できます。
③の場合、答練を受ける実益があります。独りよがりな答案になっていることの自覚が得られないまま本番を受けると恐ろしいことになるので、添削による修正の機会を設ける必要があるでしょう。もっとも、合格者に見てもらうなど代替の手段がとれる場合は不要です。

④の場合、苦手な科目が存在するときには答練を受ける実益があります。「苦手」が平均からどれだけ乖離しているのかを見るのに有益だからです。

⑤は、これだけが目的の場合は答練を受ける必要はないと思います。予備試験でBランク以下の論点が問われることは基本的にありませんので、それに準じる答練から新たな論点を把握できることは稀です。過去問と演習テキストで事足ります。

答練を受けなかったから落ちた、となることはまずありませんから、答練を受けるべきかは慎重に検討してみてください。

 

私から申し上げることができるのは以上の4点です。残り期間全力で頑張ってください。応援しています。

                                    以上