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選択科目ー経済法のススメ

こんにちは。

 

この時期、選択科目をどれにするかをそろそろ考え始めている(ないし学習をはじめている)と思います。

今回は、経済法を選択することのメリット・デメリットを紹介いたします。

 

1 前提ーいつから準備を始めるべきか

はじめに、選択科目の準備は出来る限り早い段階からするべきということを述べておきます。

基本7科目の学習が重要であることは言うまでもありませんが、だからといって選択科目の学習を後回しにすると直前期に相当苦労します。早い段階で選択科目のインプット・アウトプットを終えておけば、直前期でも7科目と並行して調整が行えます。

選択科目は司法試験初日の1発目ですから、ここでかっちり守ることができれば精神的に安定して受験を続けることができます。選択科目には早い段階から着手しましょう。

 

2 経済法のメリット

⑴ 事前に準備すべき規範が少ない

行為類型が多くなく固有の論証は限られているため、事前に覚えなければならないものは他の科目に比べてもかなり少ないです。自分が本試験まで利用した自作のまとめノートも30頁前後しかありません。

⑵ 答案が定型的で書き方が覚えやすい

行為要件→効果要件/違法性阻却事由という決まった検討順序があるため、答案の型はすぐに押さえることができます。一通りの答案が書けるようになるまでにかかる時間は刑法よりも早いと思います。

⑶ 学習に要する費用が少ない

他の選択科目と一線を画すメリット。明快かつ網羅的、それでいてどのようなテキストよりも正確性は高く、無料。経済法にはそんな"壊れ資料"が存在します。公正取引委員会が公表・配布している各種のガイドラインです。本試験の出題趣旨や市販の基本書も、殆どガイドラインに従って記述されています。つまり、テキストが無料配布されているのと変わらないのです。

極論をいえば、新しく用意する必要があるのは百選くらい。学習コストが極めて低く済むのは、経済法ならではの大きなメリットと言えるでしょう。

3 経済法のデメリット

⑴ 過去問に関する情報/テキストが少ない

上の⑶の裏返しとも言えますが、出版社が敢えてテキストを作成するメリットが乏しいためか、市販の過去問解説やテキストは他の科目に比べてかなり少ないです。そのため、過去問の復習や一元化ノートの作成には苦労すると思います。

辰巳の出している「1冊だけで経済法」が最有力ですが、26年度までしか過去問の掲載はなく再現答案の質も当時のレベルにとどまっているため、有用性は落ちつつあります。そして、プレミアがついており入手は困難になっています(2022/2/28追補:改訂版が出版されたようです)。

ここに関しては、経済法の過去問検討メモのアーカイブ化とあわせて、自作の経済法まとめノートを(限定的に)配信することも考えています。後者については現在ツイッターでアンケートを取って配信するかを検討中です。

⑵ 相対評価の影響が大きい

大体の受験生は一定のレベルの答案を書いてくるため、高得点の獲得は難しい一方で適用法条や固有の論証で書き負けると簡単に得点が下がります。点を取る、よりも失点しないようにすることが重要で、そういう意味ではプレッシャーのかかる科目といえます。

演習量がものを言うので、早期からの着手でしっかり基礎を固めておく必要があるでしょう。

⑶ 合わない人にはとことん合わない

刑法と憲法を足し合わせたような科目で、あてはめのウェイトが非常に大きいです。また、なされた行為に対する事後的評価のみならず、行為が今後市場にもたらす影響のような将来に向けた評価をすることも求められる点で、基本科目とは異なったあてはめが求められます。

割り切って考慮要素や良くあるシナリオを覚えれば、答案の作成は可能です。しかし「自分が納得しないと覚えられん!」という方にとっては、インプットがなかなか進まないため、とことん合わない科目になるでしょう。

 

以上のメリット・デメリットを勘案の上で、経済法を選択科目にするかを決めていただければと思います。

                                     以上