One's Note

総論的勉強法・使用教材紹介・起案記録

R3司法試験を終えて (長文・問題内容言及なし)

 

お久しぶりです。

 

 

先日の12日から本日16日にかけて、司法試験を受験してまいりました。

 

大学2年で法律の道に歩みを進めてから4年、ついにここまで来たのかと感傷に浸らずにはいられません。今はホテルにいるのですが、今夜くらいは青臭くこれまでを振り返っていようと思います笑

 

この記事は、問題内容について出来などを振り返ることはせず、これから本試験・予備試験を受ける方に向けるメッセージとして、5日間本試を受けて思ったことをつらつら書き留めておくものです。何かの役に立つことを願います。

 

1.試験期間の過ごし方

・地方受験は身体的精神的に快適。

→仙台で受けましたが、トイレでの時間待ちや会場内での混雑はほぼありませんでした。会場内での雑談も皆無。遠征費も都心に比べると安く済むので、割とメリットの大きい選択だと思います。

※首都圏から移動するのは感染拡大状況如何ではリスクが伴いますので、慎重に検討してください。

 

・滞在するホテルは値段で妥協しない方が良い。

→贅沢する必要はありませんが、パフォーマンスを維持・発揮できる場所を選ぶべきです。特に大浴場・サウナは寝付きが非常に良くなるので、多少値が張っても大浴場・サウナのあるホテルを選ぶことをおすすめします。

 

 

SNSをみない。

→皆が「出来なかった」「難しかった」と嘆いているのを見て安心したいという気持ちもあるかもしれませんが、基本的にはノイズにしかなりません。そこにあるのは、会場で答え合わせをするような人たちの肩で風を切る発信がほとんどだからです。その時間は休息か勉強に充ててください。

 

2. 論文式試験

「1頁あたりにかかる”最速の”筆記時間」を把握しておくことが超重要。

正直これだけで1本記事が書けます。大事なのは「最速の」という部分です。

本番では、問題の内容や残り時間に合わせて出力を調整しなければなりません。その際には、「どれだけ速く書いても1頁書くには○分かかる」(minutes per page=「mpp」と呼んでいます)という基準が非常に重要になってきます。ここの基準が不明瞭なまま書き出すと、予想より時間を割いてしまうことなどによる形式的・実質的な途中答案のリスクが跳ね上がります。限界が分かることで、起案の枚数のコントロールや答案構成の精度・時間の調整など、とれる具体的な方策も定まります。

この基準を用いることができる、という観点からも、起案時はあてはめ、結論まで固めた答案構成をして一気に書ききるスタイルの方が個人的におすすめです。

「小手先じゃん、くだらない」と思ったあなたにこそやって欲しい。途中答案は知識の精度が高まる終盤ほど直面しやすい悩みだと思います(時間があれば全部書けるのに、という状態に近づくからです)。自分自身模試で実質的な途中答案を2,3通作ってしまい対策に悩んでいましたが、最後の調整期間になってこの基準を把握してから霧が晴れ、本番ではすべての科目できっちり書き終えることが出来ました。

 

・枚数は結果論。

予備で4枚、本試で8枚書ければ合格推定。この界隈で語り継がれる諺です。あまりに語り継がれた結果、8枚書くことが盲目的に肯定されるに至っているような気がします。

さきほど述べたmppの基準を考えると、8枚を目指すことのデメリットが良く分かります。

最も標準的な筆記速度は15mpp程度だと言われます(「1頁15分」という言葉は良く聞きますね)。本試験で15mppで書ききれる受験生が答案構成を30分行った場合、書ける上限は6枚になります。実際、受験生の答案の多くが5,6枚です。

ここから8枚を目指すとなると、①答案構成の時間を減らす②mppをあげる のいずれかをせざるを得なくなります。➀は読み方・構成のしかたを改める必要があるため、一定以上短くするのは相当難しいと思います。②は可読性とトレードオフの関係にありま、一朝一夕にはできません。実現するにしても12mppが限度になると思います。*1

このように、枚数を増やすのは非常に労力がかかるのです。一方で、紙をめくる回数が増えるだけ無駄な時間も生じますし、その労力により上昇する点数はあまり多くありません。

どのみち問われたことに答え切っているのなら、枚数は少ない方が良い。枚数はあくまで結果論です。普段の起案が、8枚を「目指す」という誤った方向を向かないようにしていただければと思います。

 

・論証を「書ける」ことは結局大事。

論証が「書ける」、というのは、「問題に対してどのように展開させるかまで手が覚えている状態」をいいます。論証単体を覚えて書けるということではありません。

本試験の直前に見直すのは論証集になると思いますが、論証だけ見直していると実際の問題で処理手順が分からず、起案時に引っかかりを感じやすくなります。

➀その論証は条文のどの文言/制度趣旨との問題ですか。

②要件を先出しにするか個別に検討するかを、想起した論証から区別できますか(=適用・要件論の問題なのか、要件解釈の問題なのか等区別できますか)。

③複数の論点を連続して展開するとき、論理的な順番をきちんと考えられますか。

 

各科目で一例をあげます。上の➀②③ができるかチェックしてみてください。

憲法:公金支出と政教分離原則

行政法:行政指導の継続を理由にした処分留保の違法性

民法:占有開始後に占有権原を喪失した者による留置権主張の可否

商法:事実上の取締役が429条1項の責任を負うか

民事訴訟法:裁判所は当事者の主張した事実を用いて過失相殺できるか

刑法:自招侵害

刑事訴訟法:一罪一逮捕一勾留の原則

各論証につき、実際の答案でどう展開するかを思い出せるまで問題演習を怠らないでください。

 

3. 短答式試験

・条文素読に勝るインプットなし。

→選択肢を削る確実不変の根拠になるのは条文です。アウトプットとして過去問演習をするのは当然ですが、インプットの際には条文の文言に忠実に向き合ってみてください。過去問の蓄積が少ない改正後民法ではかなり有効だと思います。

 

 

                                    以上

 

*1:1行あたりの文字数を減らす・改行を増やす・記述を冗長にするといった方法は、答案の質を向上するためには有害となり得るので採るべきではありません。