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【使用教材紹介8】DK先生の教材をどのように使うか

 お久しぶりです。

 本日は前の記事に書いた通り、DK先生の教材を私がどのように使っているかについ

て紹介させていただきたいと思います。購入を検討されている方の参考になれば幸いです。

1.使用している教材

(1)このブログでも紹介させていただいていますが、まずは論文処理手順マニュアル。

繰り返しになりますが説明しますと、論証集ではなく、論文を書く際のフレームワークを習得することを主たる目的とした教材です。 

(2)次に、民法論点処理マニュアル。これは一応民法の論証集という位置づけになります。詳しくは後述します。

(3) そして、会社法論点処理マニュアル。論証集というより会社法事例演習教材の解説本。

2.各教材の利用方法

 私は入門講座受講後、予備短答を終えた段階で論文処理手順ノートを購入し、予備の論文に本格的に取り組む前に通読しました(特に総論)。自分の中で論文の処理手順が全く定まっていなかったからです。処理手順は論マスを受ける中で定立していくべきだったのですが、いい加減な答案構成だけしていたためにこうなってしまいました。

※予備短答受験年の前年は論文演習に充てて処理手順を確立し順次知識をブラッシュアップ→受験年の2~5月を短答演習に充てて本番へ突入、というのが理想的なスケジュール。ところが自分は受験年の5~7月で論文処理手順の確立と演習を行いました。これでは当然間に合わないです...。

(1)憲法

 論マスは旧司を題材とするため、それ単体では予備にうまく対応できません。そこで、判例の使い分け方や三者間の書き方を身に着けるために判例射程表を使いました。実践には「読み解く合格思考憲法」に掲載されている問題を使用しました。

 あくまで私見ですが、これらの教材を使うと平等権・思想良心の自由・集会の自由・政教分離には強くなれると思います(処理手順が独特、又は当事者間の争点が分かりやすいため)。

※コンプリ答練は予備に完全対応しています。教材で習得した方法をしっかり身に着けるため、奨学生試験を利用し受講されることをお勧めします。

(2)行政法

 原告適格や処分性の書き方に悩んでいたため、そこの手順を確認するために使いました。

 各抗告訴訟類型別の訴訟要件や本案勝訴要件については表で整理されていますが、行政書士試験の勉強の中で身についていたのでほとんど利用していません(文言の定義を確認するぐらい)。

(3)民法

 論点主義思考だった自分には衝撃が大きく、また最も有意義だったのが民法の処理手順です。純粋に「どういうフレームで書いていけばいいのか」を知るために利用しました。

 大島本に準拠した要件事実一覧表もありますが、自分はあまり使いませんでした(大島本があったため)。

 

 論文処理手順ノートで答案の基本的枠組みを確立したのち、民法論点処理マニュアルを購入。

 この教材は正直論証集の域を超えており、典型論点を解説したものに近いです。いちいち他の教科書を参照したりしなくてもその論点について理解できます。

 私はまず理解だけすればいいと考え、暗記などはまるでせず以下のことを意識してマークしながら読んでいました。

①条文のどの文言に関し、どのような理由で論点になるのか。

②その条文の趣旨は何か。

③定立される規範・結論のキーワードは何か。

 マークした部分をくっつければ論証になります。

 網羅性は高いものの完全ではない(総則の最初の方や家族法などはない)ので、足りない論点は呉基礎本から移植するなどして補っています。

(4)商法

 論文処理手順ノートについては実を言うとほとんど利用していません。購入当時(確か第二版)では要件事実一覧表があるのみでしたし、なにより手順が民法と同じなので特段利用する必要を感じなかったからです。

※なお、最新版(2018/12/24現在、第8版。以下同様)では条文検索時のアタリをつけやすくするための条文マップが追加されるなど、かなりパワーアップしているようです。

 

 会社法論点処理マニュアルは「会社法事例演習教材」第1部の解説に特化した教材で、普通の論証集とは違います。したがって上記演習書とセットでの利用が前提になります。

 私はこれら2つの教材を通読し、未知の論点だけを拾って趣旨規範ブックに一元化しました。問題演習自体は行っていません。あくまで論点収集が最大の目的だったからです。

(5)民訴法

 決まった処理手順がないため、掲載されていた思考方法だけ参考にしていました(問題となっている場面はどの段階か、そこにおいて妥当する諸原則は何か...etc)。ロープラとロー演、予備の過去問で様々な形式の問いに触れ、「この時はこう」「これはこの場面の問題」など経験値を積んでいるところです。

 最新版ではトラブルシューティングのような形で答案展開の仕方が掲載されています。上記の思考方法を具体化したもので便利です。本来なら上記方法で習得することになりますが、最短距離で問題に応じた処理手順を確立するなら、これを利用するのも一手でしょう。

(6)刑法

 構成要件定義表と共犯の書き方が死ぬほど有用でした。前者は定義を覚えることのほか、呉論証を条文の文言と紐づける際にも使用しました。後者は読んだだけではわからないので、問研や予備過去問から様々な共犯形式の問題を持ってきて、何故その書き方が推奨されるのか確かめていました。

(7)刑訴法

 捜査法分野の書き方の枠組み、伝聞の処理手順の習得に使用。後者は特に有益でした。これで大まかな答案枠組みを確立し、そこに国木先生の論証で肉付けをしました。※予備論文対策として以上のように利用。一橋ローに限っては問題が独特すぎてあまり役立ちませんでした。

 

これまでの使用方法としては以上です。起案の数こなさないとこれらの有用な教材も無意味になるので、これから起案をたくさんして先生の教材を使い倒していく所存です。

                                     

※補足(2019/5/8)

DK先生が当記事をRTしてくださったようです。閲覧にいらっしゃる方が多く恥ずかしくも光栄に存じます。ありがとうございます。

憲法行政法について改めて感じたことがあるので追加させていただきます。

それは、「端から表を覚えるつもりで使うのではなく、自分で簡単に表を作って答え合わせ・修正をするのに使った方がいい」ということです。

論文処理手順ノートでは判例の射程や訴訟要件が図表で簡潔にまとまっており、それ自体大変に魅力的です。

 

しかし、裁判所の判断がなぜそこで分かれたのか、訴訟要件がどの条文にありどう位置づけられるのか、ということは実際に判例の文言・条文を注意深く読まないと理解できません。 私はこのことを思想良心の自由・職業選択の自由のところで痛感しました。

 

逆に行政法の訴訟要件については、行政書士の試験勉強をするなかで自分で表を作っていたので、すんなりと理解できました。

 

そこで現在は、ローの授業に合わせて苦手な分野について表を自分で作り直し、教材と照らし合わせる作業を行っています。

この方法は時間も手間もかかるため、万人に適するわけではないと思います。

しかし、ひとたび作ってしまえば論文のみならず短答においても頭の中にいくつものアプローチを作ることができ、抜けにくく精度の高い知識を残せるので、私としてはこのような使い方もお勧めしたいところです。

                                    以上