One's Note

一橋ロー入試対策情報・司法試験過去問・修習雑記

【2020/2/21追記】予備試験短答式を突破する方法を考える

 お久しぶりです。

転居の手続やゼミレポートに追われる毎日です、皆様いかがお過ごしでしょうか。

 

さて、今月から予備試験の出願が始まります。

第1関門として立ちはだかるのが短答式試験。例年約8割を落とす厳しい試験です。今回は短答式試験について振り返ってみます。

 ⓪演習方法について(2021/2/21追加)

拙ブログのアクセスを分析すると、この記事の閲覧数が比較的多いことが分かりました。おそらくは、どうやって来年の予備短答に備えるか考えておられる方々が見てくださっているのでしょう。そこで、個人の経験の限度ではありますが演習方法についても紹介することにしました。

 

私が思う王道の演習フローは、肢別本で直前の見直し教材を作る・条文知識を叩き込む→年度別にフルスケール演習をする→時間内での実戦演習と見直し教材で仕上げる、です。

ステップ1の肢別本を使う学習はかなりのハードワークになります。予備の場合、どうしても点数が伸びない科目に限定して行えばいいと思います。

肢別本をまず丸読みし、判例、条文について確認します。条文知識の問題がどれだけ多いか実感するでしょう。2周目は順にとき、理由付きで正解が導けなかった場合にはチェックを入れます。チェックの多い部分は苦手分野なので、別途見直し教材を作成しましょう。

3周目では、チェックの入った部分のみ演習します。これでひとまずインプットは終わりです。これだけでもかなりの効果が見込めます。

ステップ2で、過去問をフルスケールで解きます。年度別演習のメリットはソクタン民法の記事で書いていますのでそちらをご参照下さい。ここでも間違えたものについてはチェックし、きちんと確認します(肢別本で一度やっているはずなので、知識の抜け漏れがないかをダブルチェックすることになります)。

苦手部分の見直し教材ができれば、短答に向けたコンディショニングは短期間でできるようになりますので、ステップ3に移ります。これまでは時間について意識していませんでしたので、"時間内で解く"ということを体感していくステップになります。肢の消去法や解く順、正誤指示の確認など、本番に合わせて対策してください。

後は本番まで、チェックのついた肢、見直し教材、条文を見続けるだけです。

自分は不完全な部分もあったものの憲法・刑訴法・民訴法でこれを実践し、なんとか合格ラインに乗せました。

残り時間は少ないですが、参考になれば幸いです。

 

①短答演習・見直し教材について(2021/2/21修正)

⓪で述べた見直し教材について、ここで検討したいと思います。

過去問教材(パーフェクトなり肢別本なり)に書かれてる解説・情報をどこに一元化するのか。当然、試験当日などに見返せる物でなければダメです。択一六法7冊なんて非現実的。持ち運びが大変だし見返す時間がありません。

 私は判例六法を選びました。7科目の条文知識と判例を登載したテキストとしては最もコンパクトだからです。出題された条文と判例についてチェックし、自分が分からなかった肢については条文や判例からどのように結論を導き出せるのかメモしていました。

また、各科目のどうしても苦手な部分についてはルーズリーフにまとめた情報シートをつくり持ち込んでいました。

②短答振りについて

「短答振り」とは、論文演習を殆どせずひたすら短答過去問演習にあてることをいいます。

私は短答式試験を突破したときこの手段を取りましたが、論文演習を全くしなかったのは失敗でした。

受験年1年前で短答:論文=5:5としたとき、半年前で6:4、受験年1月〜3月で7:3もしくは8:2、4月以降で8:2といった風に段階的に比重を上げていきつつ論文演習も怠らないのが理想でしょう(合格者の多くは2〜4月で8:2と答えてました)。

 

③一般教養について

何故か法律2科目分の配点がある一般教養。30点程度取れれば法律科目の失点をカバーしてくれます。

論理パズル系と英語の最初2問ぐらい、後は学部で履修した分野の問題、大学受験時代の知識で解ける問題を重点的に解き、残りは勘で埋める。私はこの足掻き方でなんとか平均点はとれました。

対策の要否ではよく「要らない」と言われますが、最後の一押しにはなると思います。

④受験地について

個人的には、金銭的に余裕があるなら地方受験をオススメします。交通機関の遅延があまりない上、受験生が東京に比べかなり少ないのでストレスなく適度な緊張感を持って臨めます。

私は仙台会場で受験しました。受験生が東京の10分の1以下なので、トイレの待ち時間などもなく受けることが出来ました。

ただし、短答式試験の受験地により論文試験会場が変わるのでそれは注意してください(仙台の場合、論文受験地は東京です)。

※現在新型コロナウイルスの感染が各地で拡大しているため、どこで受けるかは慎重に検討してください。 

 

 

 

 

演習法や見直しの仕方は人により千差万別です。上記はあくまで私がとった方法であり正解というわけではありませんが、一つの参考になればと思いこの記事を書きました。

                                    以上

【使用教材紹介8】DK先生の教材をどのように使うか

 お久しぶりです。

 本日は前の記事に書いた通り、DK先生の教材を私がどのように使っているかについ

て紹介させていただきたいと思います。購入を検討されている方の参考になれば幸いです。

1.使用している教材

(1)このブログでも紹介させていただいていますが、まずは論文処理手順マニュアル。

繰り返しになりますが説明しますと、論証集ではなく、論文を書く際のフレームワークを習得することを主たる目的とした教材です。 

(2)次に、民法論点処理マニュアル。これは一応民法の論証集という位置づけになります。詳しくは後述します。

(3) そして、会社法論点処理マニュアル。論証集というより会社法事例演習教材の解説本。

2.各教材の利用方法

 私は入門講座受講後、予備短答を終えた段階で論文処理手順ノートを購入し、予備の論文に本格的に取り組む前に通読しました(特に総論)。自分の中で論文の処理手順が全く定まっていなかったからです。処理手順は論マスを受ける中で定立していくべきだったのですが、いい加減な答案構成だけしていたためにこうなってしまいました。

※予備短答受験年の前年は論文演習に充てて処理手順を確立し順次知識をブラッシュアップ→受験年の2~5月を短答演習に充てて本番へ突入、というのが理想的なスケジュール。ところが自分は受験年の5~7月で論文処理手順の確立と演習を行いました。これでは当然間に合わないです...。

(1)憲法

 論マスは旧司を題材とするため、それ単体では予備にうまく対応できません。そこで、判例の使い分け方や三者間の書き方を身に着けるために判例射程表を使いました。実践には「読み解く合格思考憲法」に掲載されている問題を使用しました。

 あくまで私見ですが、これらの教材を使うと平等権・思想良心の自由・集会の自由・政教分離には強くなれると思います(処理手順が独特、又は当事者間の争点が分かりやすいため)。

※コンプリ答練は予備に完全対応しています。教材で習得した方法をしっかり身に着けるため、奨学生試験を利用し受講されることをお勧めします。

(2)行政法

 原告適格や処分性の書き方に悩んでいたため、そこの手順を確認するために使いました。

 各抗告訴訟類型別の訴訟要件や本案勝訴要件については表で整理されていますが、行政書士試験の勉強の中で身についていたのでほとんど利用していません(文言の定義を確認するぐらい)。

(3)民法

 論点主義思考だった自分には衝撃が大きく、また最も有意義だったのが民法の処理手順です。純粋に「どういうフレームで書いていけばいいのか」を知るために利用しました。

 大島本に準拠した要件事実一覧表もありますが、自分はあまり使いませんでした(大島本があったため)。

 

 論文処理手順ノートで答案の基本的枠組みを確立したのち、民法論点処理マニュアルを購入。

 この教材は正直論証集の域を超えており、典型論点を解説したものに近いです。いちいち他の教科書を参照したりしなくてもその論点について理解できます。

 私はまず理解だけすればいいと考え、暗記などはまるでせず以下のことを意識してマークしながら読んでいました。

①条文のどの文言に関し、どのような理由で論点になるのか。

②その条文の趣旨は何か。

③定立される規範・結論のキーワードは何か。

 マークした部分をくっつければ論証になります。

 網羅性は高いものの完全ではない(総則の最初の方や家族法などはない)ので、足りない論点は呉基礎本から移植するなどして補っています。

(4)商法

 論文処理手順ノートについては実を言うとほとんど利用していません。購入当時(確か第二版)では要件事実一覧表があるのみでしたし、なにより手順が民法と同じなので特段利用する必要を感じなかったからです。

※なお、最新版(2018/12/24現在、第8版。以下同様)では条文検索時のアタリをつけやすくするための条文マップが追加されるなど、かなりパワーアップしているようです。

 

 会社法論点処理マニュアルは「会社法事例演習教材」第1部の解説に特化した教材で、普通の論証集とは違います。したがって上記演習書とセットでの利用が前提になります。

 私はこれら2つの教材を通読し、未知の論点だけを拾って趣旨規範ブックに一元化しました。問題演習自体は行っていません。あくまで論点収集が最大の目的だったからです。

(5)民訴法

 決まった処理手順がないため、掲載されていた思考方法だけ参考にしていました(問題となっている場面はどの段階か、そこにおいて妥当する諸原則は何か...etc)。ロープラとロー演、予備の過去問で様々な形式の問いに触れ、「この時はこう」「これはこの場面の問題」など経験値を積んでいるところです。

 最新版ではトラブルシューティングのような形で答案展開の仕方が掲載されています。上記の思考方法を具体化したもので便利です。本来なら上記方法で習得することになりますが、最短距離で問題に応じた処理手順を確立するなら、これを利用するのも一手でしょう。

(6)刑法

 構成要件定義表と共犯の書き方が死ぬほど有用でした。前者は定義を覚えることのほか、呉論証を条文の文言と紐づける際にも使用しました。後者は読んだだけではわからないので、問研や予備過去問から様々な共犯形式の問題を持ってきて、何故その書き方が推奨されるのか確かめていました。

(7)刑訴法

 捜査法分野の書き方の枠組み、伝聞の処理手順の習得に使用。後者は特に有益でした。これで大まかな答案枠組みを確立し、そこに国木先生の論証で肉付けをしました。※予備論文対策として以上のように利用。一橋ローに限っては問題が独特すぎてあまり役立ちませんでした。

 

これまでの使用方法としては以上です。起案の数こなさないとこれらの有用な教材も無意味になるので、これから起案をたくさんして先生の教材を使い倒していく所存です。

                                     

※補足(2019/5/8)

DK先生が当記事をRTしてくださったようです。閲覧にいらっしゃる方が多く恥ずかしくも光栄に存じます。ありがとうございます。

憲法行政法について改めて感じたことがあるので追加させていただきます。

それは、「端から表を覚えるつもりで使うのではなく、自分で簡単に表を作って答え合わせ・修正をするのに使った方がいい」ということです。

論文処理手順ノートでは判例の射程や訴訟要件が図表で簡潔にまとまっており、それ自体大変に魅力的です。

 

しかし、裁判所の判断がなぜそこで分かれたのか、訴訟要件がどの条文にありどう位置づけられるのか、ということは実際に判例の文言・条文を注意深く読まないと理解できません。 私はこのことを思想良心の自由・職業選択の自由のところで痛感しました。

 

逆に行政法の訴訟要件については、行政書士の試験勉強をするなかで自分で表を作っていたので、すんなりと理解できました。

 

そこで現在は、ローの授業に合わせて苦手な分野について表を自分で作り直し、教材と照らし合わせる作業を行っています。

この方法は時間も手間もかかるため、万人に適するわけではないと思います。

しかし、ひとたび作ってしまえば論文のみならず短答においても頭の中にいくつものアプローチを作ることができ、抜けにくく精度の高い知識を残せるので、私としてはこのような使い方もお勧めしたいところです。

                                    以上

ご報告と今後の記事について

 ロー入試があったため長らく更新しないでいました。本日はご報告を兼ねて記事を更新します。

 

 

 

 

 先日行われた、一橋ローの既修者試験に無事合格しておりました。努力が報われて一安心です。

 この度の受験にあたり、ひとつ感じたことがあります。

 

 それは、「一橋ローの情報少なくない?」ということ。

 いくら調べても出てくるのは5~6年前の古い情報ばかり。再現答案などはほぼ皆無に近いです(10月ごろから少しずつ書いてくださる方も出てきていますが)。twitterなどで情報収集してもほとんど出てきません。私は最終的に予備校講座を購入し過去問対策をしました(それもあまり有益ではなかったですが...)

 この情報の少なさに勝手に腹を立て、私は内心「一橋ローに受かったら受験生が困らないよう情報を提供するんだ」と意気込んでいました笑

 そこで、今後は記事の更新を増やし、以下の二つのプロジェクトを進行していこうと思っています。

 

①一橋ローの受験対策情報をまとめたデータの提供

 私自身の経験や、合格者の先輩から集めた情報を提供します。科目別の傾向や対策のために有用な教材、ひいては実際の答案用紙の規格などの細かい情報まで。私が浪費した、色んなホームページを見て回る時間を削っていただきたいです。

 

②教材をどのように使用したのか、体験談の形での紹介

 一橋ローの合格にあたって、このブログで紹介させていただいた教材(及びまだ紹介できていない教材)を実際にどのように使ったのか、具体的な形での記録を残していきます。

 D.K.先生に当ブログの記事をRTしていただいて以降Twitterから来訪される方が多いので、DK先生の教材を私がどのように使っているかも詳しく紹介します。

 

 並行して進めていきますが、まずは②について記事を更新していこうと思います。よろしくお願いします。

                                     以上

 

【使用教材紹介7】呉基礎本 民法総則

本日紹介するのはこちらの教材です。初の民法カテゴリですね。

 

民法総則 <第2版> (伊藤塾呉明植基礎本シリーズ)

民法総則 <第2版> (伊藤塾呉明植基礎本シリーズ)

 

 


【教材利用の目的:1周目のインプット、論証の収集】

 「お前は呉先生の本しか読まんのかい」と言われると返す言葉がありません笑 先に付言しておくと、この本を強く勧めるわけではないです。

 

 民法は司法試験・予備試験・ロー入試との関係でもかなり大きな比重を占める科目であり、民訴と商法、その他私法分野の基本となる超重要科目です。

 つまり、民法に苦手意識をもっていると法律科目の勉強はなかなかうまくいかなくなります。

 苦手意識を持つ原因になるタイミングは二つあります。最初のタイミングは一周目で良く分からん知識にぶつかったとき。次のタイミングは二周目以降短答や論文を解き進めているときです。2つめは力業で克服できますが、一つ目が厄介です。特に民法憲法に次いで二つ目に学ぶ科目なので、ここで苦手意識を持つとその後の法律学習のやる気が出なくなり、途中で脱落する危険すら出てきます。なので、民法の学習に用いるテキストは慎重に選ぶべきでしょう。

 

 さて、この呉テキストの特長は、①平易でありながら実際の論述を意識した文体を取っている点、②図表を多用しているため権利関係を視覚的に捉えられる点、③一周目に必要最小限度であり、判例通説に従った一貫した立場を身に着けられる点、④債権分野との関連もしっかり載っている点 です。

 これらのおかげで、一周すると物権法・債権法の理解に必要なだけの理解が身につきます。また民法自体を一通り学んだあとで④に該当する部分を読むと、より横断的理解が進むでしょう。

 

 この本を使う上で注意すべき点は以下の通りです。

①あくまで「基礎本」

 この本は初学者の混乱を避けるため、やや複雑な問題についてはコラムにあったり省かれたりしています。したがって勉強が進むにしたがい足りない箇所も出てきます(私は足りない部分について付箋に書き補充していました)。辞書的用法には耐えられないので、そのレベルに来たら佐久間総則などを参照すると良いでしょう。

②条文起点の思考を忘れない(論点だけ切り離して覚える、といったことをしない)

 刑事系と同様、この本にも論証パターンがついています。また、ページの多くは論点の解説に割かれています。別にこれ自体は予備校本なので問題ありません。

 ただ、何も考えずにこの本を読むと「ああこれらの論点を覚えて書ければ民法総則は大丈夫なんだ」と考えてしまう可能性があります。この思考は結構危険です(私は最初こうでした)。

 刑法の記事でも述べましたが、ほとんどの論点は条文の文言該当性と関連して出てきます。にもかかわらず、論点だけ切り離して覚えると、「なぜそれが論点なのか」が分からなくなったり、どの段階で書く話なのか分からなくなったりするのです。

 民法の論点は要件充足性検討の中で出てくる。このことを頭に入れておくだけで、論点の位置づけや判例の意味がだいぶ分かるようになると考えます。

 

 今になって思いますが、一周目の段階でDK先生の処理手順ノートの民法分野について軽く読んでおくと、上で私の書いたことが良く分かると思います。

                                     以上

 

 

【使用教材紹介6】刑事系TOPが作った刑事系論証講義

本日紹介するのは、こちらの教材です。

 

bexa.jp【教材利用の目的:刑訴論証の修正】

 以前呉基礎本の刑訴法について紹介しました。そこで「論証は必ずしもそのまま使えるわけではない」旨お伝えしたと思いますが、じゃあ何の教材つかって修正すんねん、ということになります。私は上記のいわゆる「国木刑訴論証」を用いて修正をしました。

 この教材の特長は論証のみならず先生本人による解説音声が付属している点にあります。ただ読んだだけではわからない点も、わかりやすい解説によりしっかり理解できるのは大変ありがたいですね。

 当教材の論証は、おそらくリークエや「事例演習刑事訴訟法」「事例研究刑事訴訟法Ⅱ」をベースにして作成されています。これらは受験生御用達の本ですね。また先生が大量の資料にあたって裏付けを行っておられるので、質について受験生が心配する点は何も無いです。お世辞抜きで、現状市販されている論証で最高峰だと思います。

 細かい論証は載っていないので、私はこちらに論証を一元化するのではなく基礎本の論証を国木論証を用いて修正していました。

 さて、この教材の使用に当たって注意すべき点は一つです。

 論証の等身大化を常に心がける

 この教材の論証内容は相当ハイレベルです。「同じ受験生がこんなことまで考えて書いてたのか」と焦ってしまうほどの高密度な記述が展開されています。

 これの何が怖いかというと、自分の理解を超えた記述に振り回され、逆に無理解を露呈してしまう可能性があることです。ただこの教材の論証を丸暗記して答案に書き出しても、記述にムラが出来たり問題に合わない内容になってしまったりします。したがって、この教材の論証や音声解説で学習する際は、つねに「論証の等身大化」を心がける必要があります。

 ここにいう「論証の等身大化」とは、(ⅰ)条文のどの文言・どの原則との関係での問題か理解し、(ⅱ)論証の記述の流れを把握し、(ⅲ)どのような事案で出題されても記述内容を変えず伸縮させることができること、を意味します。なんや当たり前のことを、と思われるかもしれませんが、これが意外とできません。私は論証内容を自分なりの易しい言葉でかみ砕いて何とか理解しようと努めているところです。

 先生もおっしゃっていますが、司法試験まででこの教材以上の内容が要求されることはないので、論証の暗記に先立ちまずは内容を理解していくことが重要です。等身大化作業は、今後のハイレベルな問題にも耐えうる刑訴の勉強になります。

                                     以上

 

 

【使用教材紹介5】基礎からわかる民事訴訟法

本日紹介するのは、民事訴訟法のテキストです。

 

基礎からわかる民事訴訟法

基礎からわかる民事訴訟法

 

 

 

 【教材利用の目的:インプット・判例の理解・疑問点解決】

 民訴は苦手とする受験生が多いと聞きます。理由として考えられるのは、

①体系的構造がつかみにくい(いわゆる円環的構造)

②記述が抽象的でイメージがわかない

③テキストにより言ってることがバラバラ

 の3つでしょう。

 和田先生のこの本は、

①手続きの流れに沿った記述(一審手続→複雑訴訟→上訴再審)

パワーポイント状の図を用いた分かりやすい説明

判例実務の立場と学説の立場をすっきりと整理した記述

 と、上記3つの難点をうまく克服できています。

 特に②と③は大きいです。実務家と学者の両方を併せ持つ先生ならではの特長といえるでしょう。この点でリークエより和田民訴をお勧めします。百聞は一見にしかず、民訴のテキストに悩んでいる方は本屋で手に取ってみてください。

 私は民訴の一周目は基礎マスターで行い、良く分からなかった部分や判例をこの本の図と説明で補っていました。

 インプットや疑問解決にあたってはこの本で問題ないでしょう。但し、注意すべき点が二つあります。

 まず、この本は言葉の定義づけがあまり載っていない、もしくは載っているけど若干足りない、という印象があります。答案では定義に触れることもあるので、リークエ等で適宜抑える必要があります(趣旨規範本でも構いません)。

 次に、予備校本ではないので論点が事細かに載っているわけではありません。本格的に論文演習に移った場合には論点確認は趣旨規範本で行いましょう。

 

 参考になるかはわかりませんが、オマケコーナーとして私が苦手な民訴をやり直すならこうするよ、という手順を書いてみます。

判例六法、和田民訴、百選、ロープラ、ロー演、趣旨規範本(SKH)、DKさんの処理手順ノートを準備。

②和田民訴で1周目+条文確認し、民訴知識の骨格をつくる。途中で適宜SKHを参照し、どの原則との関係で問題になるかの紐づけを行う。

 一周終わったら、予備過去問と参考答案をランダムに見てみて、「こんな問題を解けるようになればいい」という道しるべを得る。

 短答過去問を並行して行い、問題に関連する条文・判例にシャーペンでマーク(シャーペンの色が濃く出ている条文・判例ほど頻出ということが分かるし、何度も開く中で条文体系も分かってくる)。わからない点は和田民訴で解決。載ってなければリークエなどで解決。

 ※短答は肢別でやる。一周目は解かずに丸読みし、条文判例マークと理解に専念。二周目で右ページを隠して演習し、ミスした問題にチェック。三周目でチェックした問題のみ解く。

③ロープラを読み百選事案を押さえつつ、新論点はSKHに一元化。骨格に知識を流し込んでいく。答案を書く必要はない。

④ロー演を読む。これも答案を書く必要はない。ロープラと重複する知識については理解しているか確かめ、新しい論点についてはさらにSKHに補充。わからない記述が合ったら和田民訴を参照し、気づいた点をSKHに書き込む。

 ここまでで、たいていの問題に対応できる自分だけのSKHが完成する。

⑤予備試験過去問すべてをフルスケールで書く。 

 最初の3年分ぐらいは処理手順ノートとSKH、普通の六法を見ながら書き、論文の書き方を身に着ける。残りは実戦演習として六法のみ見て解いてみる。

⑥新司過去問へ移行。

 これで民訴の実力は一定レベルに到達すると思います。

 

                                    以上

 

 

 

 

 

【使用教材紹介4】呉基礎本シリーズ 刑事訴訟法

本日紹介するのは、この教材です。

 といっても、刑事訴訟法でテキストに悩む人は少ないと思いますが...

 

刑事訴訟法 第2版 (伊藤塾呉明植基礎本シリーズ 3)

刑事訴訟法 第2版 (伊藤塾呉明植基礎本シリーズ 3)

 

 

 【教材利用の目的:一周目のインプット・一元化】

 この教材についても、1周目のインプット用教材として利用しました。

 呉本に共通して言えることですが、図説が多いことが特長です。刑訴でも難解とされる伝聞証拠も図説ですんなり分かります。

 また新設された制度(公判前整理手続、被害者参加制度etc)や細かい手続についても言及されているため、刑法よりは短答への対応性が高いといえます。

 私はささっと1周目を終わらせてしまい、あとは演習書で仕入れた知識などをこの本に書き込んで一元化しています。

 さて、この本を使用するにあたって注意すべきことは、①試験で書くには問題のある記述がある点、②本質的部分に関する記述が省かれている点、です(これは刑事訴訟法の予備校テキストに共通することですが)。

 ①について。演習書の解説やリークエを参照したあとにこの本を見ると、「?」と思うところがチラホラ出てきます。

 筆頭に挙げられるのが、「証拠能力が認められるためには①自然的関連性があり②法律的関連性があり③証拠禁止に当たらないことが必要である」という記述。

 学習済みの方はご存知でしょうが、①②③は「証拠能力が認められる要件」ではありません。「証拠能力が否定される場合を列挙したら、①自然的関連性がない場合②法律的関連性がない場合③証拠禁止に当たる場合 という3つの観点に分けられました」という話です。これは基本書ではしっかりと記述されていることです。伝聞証拠の問題が出た時に、上記のような要件先出し的記述をすると大火傷します。

 …したがって、1周目以降は論証パターンをアップデートする必要があります。これも勉強にはなりますけどね。

 ②については予備校本の宿命です。様々な諸原則の沿革や、そしてその原則がどのような形で表れているかについては、紙面上大部分が割愛されています。

 この点は本試や予備試では別段問題ありません。この本もこれらの試験を想定しているため、ある意味当然です。

 しかし、一行問題などで本質的な部分を問うてくるロー入試などでは結構困ります(京大ローや一橋ローの問題はモロに刺さります)。したがって、ロー入試を検討している方は他の本を適宜参照する必要があるでしょう。

 

  初学者向けとは言いにくいものの、内容面でこの本を上回る基本書としてリークエが存在します。業界でスタンダードなのはこっちです。

 1周目・論証ストック用に呉本。論証修正用・辞書用としてリークエ。この併用が一番いいかもしれません。

                                    以上