【使用教材紹介5】基礎からわかる民事訴訟法
本日紹介するのは、民事訴訟法のテキストです。
【教材利用の目的:インプット・判例の理解・疑問点解決】
民訴は苦手とする受験生が多いと聞きます。理由として考えられるのは、
①体系的構造がつかみにくい(いわゆる円環的構造)
②記述が抽象的でイメージがわかない
③テキストにより言ってることがバラバラ
の3つでしょう。
和田先生のこの本は、
①手続きの流れに沿った記述(一審手続→複雑訴訟→上訴再審)
②パワーポイント状の図を用いた分かりやすい説明
③判例実務の立場と学説の立場をすっきりと整理した記述
と、上記3つの難点をうまく克服できています。
特に②と③は大きいです。実務家と学者の両方を併せ持つ先生ならではの特長といえるでしょう。この点でリークエより和田民訴をお勧めします。百聞は一見にしかず、民訴のテキストに悩んでいる方は本屋で手に取ってみてください。
私は民訴の一周目は基礎マスターで行い、良く分からなかった部分や判例をこの本の図と説明で補っていました。
インプットや疑問解決にあたってはこの本で問題ないでしょう。但し、注意すべき点が二つあります。
まず、この本は言葉の定義づけがあまり載っていない、もしくは載っているけど若干足りない、という印象があります。答案では定義に触れることもあるので、リークエ等で適宜抑える必要があります(趣旨規範本でも構いません)。
次に、予備校本ではないので論点が事細かに載っているわけではありません。本格的に論文演習に移った場合には論点確認は趣旨規範本で行いましょう。
参考になるかはわかりませんが、オマケコーナーとして私が苦手な民訴をやり直すならこうするよ、という手順を書いてみます。
①判例六法、和田民訴、百選、ロープラ、ロー演、趣旨規範本(SKH)、DKさんの処理手順ノートを準備。
②和田民訴で1周目+条文確認し、民訴知識の骨格をつくる。途中で適宜SKHを参照し、どの原則との関係で問題になるかの紐づけを行う。
一周終わったら、予備過去問と参考答案をランダムに見てみて、「こんな問題を解けるようになればいい」という道しるべを得る。
短答過去問を並行して行い、問題に関連する条文・判例にシャーペンでマーク(シャーペンの色が濃く出ている条文・判例ほど頻出ということが分かるし、何度も開く中で条文体系も分かってくる)。わからない点は和田民訴で解決。載ってなければリークエなどで解決。
※短答は肢別でやる。一周目は解かずに丸読みし、条文判例マークと理解に専念。二周目で右ページを隠して演習し、ミスした問題にチェック。三周目でチェックした問題のみ解く。
③ロープラを読み百選事案を押さえつつ、新論点はSKHに一元化。骨格に知識を流し込んでいく。答案を書く必要はない。
④ロー演を読む。これも答案を書く必要はない。ロープラと重複する知識については理解しているか確かめ、新しい論点についてはさらにSKHに補充。わからない記述が合ったら和田民訴を参照し、気づいた点をSKHに書き込む。
ここまでで、たいていの問題に対応できる自分だけのSKHが完成する。
⑤予備試験過去問すべてをフルスケールで書く。
最初の3年分ぐらいは処理手順ノートとSKH、普通の六法を見ながら書き、論文の書き方を身に着ける。残りは実戦演習として六法のみ見て解いてみる。
⑥新司過去問へ移行。
これで民訴の実力は一定レベルに到達すると思います。
以上