One's Note

一橋ロー入試対策情報・司法試験過去問・修習雑記

本試25年商法 構成メモ

1.雑感

 問われている論点はスタンダードなもので、現場思考を要する場面も少ない。それだけに、少しでも基本をおろそかにすると書き負けるので危険だと感じた。26年は「実はこの点も問題になるよ」という示唆に富んだ出題であったが、そのスタンスは25年でも一応意識されていたのだろう。

設問1については、分析本や下の構成メモとは真逆の結論(145は適用されない)で書いてしまったが、これが不適切な処理なのかは正直分からない。採点実感を確認しておくことにする。そのほかの設問については、指摘落ちもいくつかあるが、おおむね沈まない形で書けたのではないかと思う。

 

2.構成メモ

第1 設問1

1 株式譲渡の効力

(1)甲社は非公開会社(定款5条、2➄参照)・株券発行会社であるから、株式の有効な譲渡には株券の交付及び役会決議による承認が必要

今回は株券交付はあるが承認がない。したがって、株式譲渡はEF間では有効だが(137条参照)、会社との関係では無効となりそう

(2) Eが譲渡承認請求(136)してから2週間会社の応答がないことから、145条1号の規定により会社の承認があったものとして会社との関係でも譲渡が有効とならないか

 本件で会社が2週間何の応答もしなかったのはAが譲渡承認請求があった旨を他の取締役に伝えなかったからであるが、このような場合にも145条のみなし承認がされるかが問題となる

ア 145条の趣旨は、会社の対応遅滞により株式の譲受人を長期間不安定な地位におくことを防止する点にある 趣旨は株式譲受人の保護にあるから、適用除外は限定的に解するべき

  そこで、譲渡承認請求のあった事実が譲渡人の側から隠匿された等会社が対応の遅れた事についてなんら帰責性がないと認められる特段の事情がない限り145条の適用はあると考える*1

イ 本件でEの側に譲渡承認請求の事実を隠匿した事情はないし、取締役であるAが譲渡承認請求のあったことを知りながらこれを告げていない点で甲社に帰責性がある

(3) よって、本件株式譲渡は145条により会社との関係でも有効となる

 

2 株主総会でFを株主として取り扱うことの当否

(1) 株主総会における議決権行使について基準日が設けられていないことから、甲社としては株主総会における株主名簿名義人を株主として扱えばよい

上記の通り、株式は有効にFに譲渡されているが、名義書換がなされていない この時、Fを株主として扱ったことは適法かが問題となる

(2) 130条の趣旨は絶えず変動する株主について会社に事務処理上の便宜を図る点にある

 したがって、名義書換未了であっても、会社が自己の危険において譲受人を株主として扱うことは問題ないというべき

(3) 以上より、甲社がFを株主として扱ったことは適法

 

第2 設問2(1)

1 Bとしては、株主総会決議取消の訴え(831Ⅰ)を提起して本件報酬決議の効力を否定することが考えられる

(1)訴訟要件

 Bは甲社株主、ゆえに「株主等」(831Ⅰ,828Ⅱ①括弧書)にあたる したがって、Bは本件報酬決議から「三箇月」以内に、甲社を被告として(834⑰)、甲社所在地を管轄する裁判所に(835Ⅰ)上記訴えを提起することができる

(2)本案勝訴要件

本件株主総会で問題になるのは、①招集通知に記載のない事項について決議したこと ②BによるQの議決権の行使を拒絶していること ③Aが議決権を行使していること である これらが決議取消事由を構成するか、以下検討する

ア ①について

309条5項より、取締役会設置会社においては招集通知に記載のない事項について株主総会決議をすることができない にもかかわらず招集通知に記載のない事項について決議をした場合、決議方法の法令違反にあたり決議取消事由を構成する(831条1項1号)

→裁量棄却の余地はない

イ ②について

BによるQの議決権行使は有効か 106条にいう「権利を行使する者一人」はどのように「定め」るべきかが問題となる

 株主権が分割されていない以上、共有者全員の同意により決すべきとも思えるが、このように考えると一人でも反対者がいる場合には権利行使者を指定することが出来ないことになり、これでは会社の事務処理の便宜に反する

また株式が共同相続された場合株主権は準共有となるところ、権利行使者の指定は共有物の管理(民法264条、252条)にあたる

そこで、本条の権利行使者は持分の価格に従い過半数で決すべきである

BCはBをQの議決権行使者と定めた ABCの持分が相等しいものと推定されること(民250)からすれば、これは持分の価格の過半数をもって決せられたといえる したがって、BCは「権利を行使する者一人」を「定め」、これを甲社に「通知」している よって、BによるQの議決権行使は有効

そうすると、Aの議決権処理は違法

かかる違法な議決権処理は本件決議の決議取消事由(831条1項1号)を構成

株主の議決権行使を妨げている点で違法の事実は重大であり、適切に議決権が行使されたとすれば本件報酬に係る議題については否決決議がされていたはずであるから、決議に影響がないともいえず、裁量棄却(2項)の余地はない

ウ ③について

 Aが議決権行使したことは適法か Aは「株主総会等の決議について特別の利害関係を有する者」にあたらないかが問題となる

 「株主総会等の決議について特別の利害関係を有する者」とは、当該決議について他の株主と共通しない特殊の利益を得る者をいう

 本件株主総会においては報酬総額を引き上げる旨の事項について決議がされている 確かに従来の報酬総額より大幅な増額がされているが、この時点ではAらの報酬の具体的な額が定まっているわけではない したがって、Aは特別の利害関係を有するとはいえない

 ③の点は決議取消事由を構成しない

(3)Bは上記手段により決議効力を否定出来る 

 

第3 設問2(2)  

1 不当利得返還請求

 今回は会社が取締役に対してする請求であるから、甲社は353条により代表者を定めたうえで、原状回復義務履行請求(民法121-2Ⅰ)をすることが考えられる

25総会が取り消されることにより、上限は23総会の6000万円だったことになる(839反対解釈)

そうすると、25役会でなされた総額2億6700万円の報酬を支払う旨の決議は全部無効になる

取締役の報酬請求権は総会・役会で個別に額が定められて初めて発生するから、ADGの報酬は無効な決議により給付されたもの

 →請求は認められる

※「代表者を定めて」:非監査役設置会社(定款8条2項、2条9号括弧書)のため、353条により会社を代表する者を定めて請求することになる

 

 

第4 設問3

1 ①

・発行差止め(210)/発行差止めの仮処分(民事保全法23Ⅱ)

(1)2号該当性

2号にいう「著しく不公正な方法による発行」とは、募集株式の発行のうち、(支配権の維持等)不当な目的を達成する手段としてなされるものをいう。

もっとも、資金調達という正当な目的と不当な目的とが併存する場合は、そのいずれが主要な目的かにより、「著しく不公正な方法」であるか否かを決すべきである。

たしかに、持株数に応じて株式を割り当てるという等しく機会を与える方法 払込金額も従前から変動がなく、BCが払い込めなかったといっても異常な額というわけではない*2

 しかし実際に報酬全額を払込んだとしてもAが支配権を握る結果になる

 →主要な目的は支配権維持にあったといえる

 著しく不公正な方法による発行

(2)不利益を被るおそれ

・持株比率の低下

著しい損害→持株比率の低下は賠償により事後的に填補できない

⑶上記のような著しい損害が生じる危険が切迫しているから、差止請求権を被保全債権として差止めの仮処分を申し立てることができる

2 ②

(1)訴訟要件はさっと認定

(2)本案勝訴要件

不公正発行は新株発行の無効事由を構成するか

無効事由→取引安全の要請を犠牲にしてでも既存の株主の利益を保護すべき場合、すなわち重大な法令定款違反がある場合に限られる

非公開会社である甲社においては既存株主の保護が強く要請される+株主割当てであるため取引安全を考慮する必要はなかった*3

既存株主の利益を重視すべきことに照らすと、本件株式発行には無効事由を構成する重大な違法があるといえる

(3)以上より、Bは株式発行無効の訴えによって株式発行の効力を否定することが出来る                          

                                    以 上

 

 

 

*1:ここの問題は、既存株主構成の維持という利益と譲受人の地位安定という利益をいかに調整するかに帰着するだろう。

*2:後に続く本問の特殊事情を強調すべく、反対事情は指摘したいところ。

*3:後者は指摘を忘れやすい点だが、無効事由を構成する決定的な論拠となろう。

本試24年商法 構成メモ

1.雑感

監査役の権限や地位がメインテーマの問題だった。設問1は現場思考チックなのでさっさと済ますとして、設問2のFの権限や設問3のFの責任追及については条文を知らないと思いつくのに時間がかかるので、日ごろから条文を読んでおく重要性に気づけた過去問であった。

 

2.構成メモ

【設問1】

○問題点

①選任可能人数

②得票数上は選任されるはずのQ,Rについて集計をとっていない点

○法律構成

・①について

②の方が目につきやすいため若干分かりにくい。

定款による人数制限は業務執行の機動性や相互監視体制の確保を図るべく設けられるものであるから、その制限は実際に選任された取締役との関係で問題になる。したがって、実際に決議される人数が上限の範囲内にあればよく、提案段階では候補者数に制限はかからないと考えるべき。

 

・②について

議長の裁量権(315)から切り込み、決議の方法にも議長に一定の裁量権が認められるとしたうえで、304条の提案が適法になされている以上はQ,Rについても選任の当否を審査すべきであり、これをしなかったことは裁量権の逸脱濫用にあたる、とするのが比較的思いつきやすい。

「得票数集計は全員について議場で行うべき」「得票数の多い順に選任すべき」という裁量権の限界を理屈づけたい。前者については304から、後者については342Ⅳから導出し、QRについて集計せず、得票数でQRに劣るBを選出した点に裁量権の逸脱濫用が認められるとする筋が分かりやすいだろう。

→Bを取締役として選任したことは適切でなかった(831Ⅰ①)。ただし、出訴期間徒過によりこの決議の効力は否定されない。

 

【設問2①】

1.Aの権限

⑴株主としての差止請求(360Ⅰ)

⑵要件―株式保有期間

端的に満たすと指摘すればOK

⑶要件―法令違反行為

利益相反取引(356Ⅰ②) ∵乙社はPの一人会社であるから、実質的にPの名義で甲社と取引したものと同視できる

「重要な事実の開示があった」といえるか?

→「重要な事実」:当該取引が会社に与える影響を判断するのに必要となる事実

 「開示」:取締役として一般的な理解力を有する取締役が会社に与える影響を判断できるだけの説明がされたこと

→Fは説明が不十分としているが、他の役員が納得していることからすると、重要な事実の開示があったといえるだろう

善管注意義務違反(思いつかず) 

経営判断の合理性

乙会社はペーパーカンパニーであり、返済の見込みはない。にもかかわらず資本金の2分の1に相当する15億円の無担保貸付けをする旨決定したことは、経営判断としても著しく合理性を欠くものであり、善管注意義務(355,330,民法644)に違反する

⑷要件―損害要件

15億の損失が出た場合、甲会社が経営悪化の一途をたどっていること、乙社からの十分な返済は見込めないことからして、倒産という回復できない損害が生じるおそれがある

 

2.Fの権限

監査役としての差止請求(385Ⅰ)

監査役会で問題視しないことにしたのにFがかかる請求をする事の可否

監査役の独任制(390Ⅱ但)に照らし、各監査役監査役会の決定(同項3号)にかかわらず権限行使ができる。差止請求及び調査の双方にかかわる話なので、最初に言及しておくとよいだろう

⑵要件―法令違反行為

1と同じ

⑶要件―損害要件

385は重大損害要件にとどまるので、こちらも肯定される。

差止請求権の前提としての調査権限の行使(381Ⅱ,Ⅲ)

これは指摘するだけでよい

※今回は会社法上の権限しか問われていないので必要ないが、差止請求のときは民事保全(仮処分の申立て)も気を付けておく。採点実感いわく、385Ⅱにより仮処分の申立てで担保(民保14Ⅰ)が不要となることは言及できると望ましいらしい

 

【設問2②】

1.A,Fの責任追及

⑴Aは847Ⅰ,Ⅲ・423Ⅰ、Fは386Ⅰ①で会社を代表し、423Ⅰ

⑵損害

15億円

⑶任務懈怠

ア H

423Ⅲ②で任務懈怠が推定

イ D

423Ⅲ③で任務懈怠が推定

ウ P

423Ⅲ➀で任務懈怠が推定

任務懈怠推定があっても具体的事情については書いた方がいいが、分量上厳しいので「これを覆す事情はない」くらいにとどめておいていいかも

⑷因果関係

端的に認定

⑸故意又は重大な過失

HDについては少なくとも過失があるとすればよい

Pについては、428Ⅰより無過失であっても責任を負うことに言及する

※429についてはAの請求適格を否定する論証を書くことが出来るが、メインではないので書かなくていいと思う。ぶんせき本は広く株主も第三者に含めて間接損害の賠償請求を認めているものの、株主の一人に回復利益を割取させるのが妥当とは思えない。

【設問3】

1.議案1について

否決決議取消訴訟の可否については否定(831Ⅰの「決議」にあたらない)、というのが穏当

2.議案2について

⑴訴訟要件関連

Fは監査役でなくなっているが、原告適格認められる(831条1項後段,346Ⅰ)

※831Ⅰ後段・346Ⅰで原告適格が認められる者

「その決議が取り消されることによって」法令・定款上の員数を欠く結果、346Ⅰによって権利義務を負う者

⑵主張事由

ア Fの意見陳述権(345Ⅳ,Ⅰ)の侵害

イ Qが監査役に選任されることの可否

 設問1では、BではなくQが選任されるべきであった。これを前提とする場合、Qを監査役として選任する旨の決議には335Ⅱに違反する取消事由があるのではないか

監査役との兼任を禁じられる者が総会で監査役に選任された場合、特段の事情がない限りその者は従前の使用人たる地位を辞したものと推認される

また、335Ⅱは取締役を監査役の欠格者と定めるものではない(=選任決議の効力要件ではない)から、その者が従前の地位を辞さなかったとしても決議の効力に影響しない(最判平元.9.19)

→取消事由はない

※イは必須ではない?

⑶主張の可否

アについて、Aとの関係では第三者に対する手続上の瑕疵を主張できるかを簡潔に論証する。

⑷主張の当否

ア→831Ⅰ①に該当。また、違法は重大であり裁量棄却(831Ⅱ)の余地はない

 

                                                                          以 上

本試23年商法 構成メモ

1 雑感

傾向が安定したH23以降の本試商法でも一番キツかった。

➀事前に知っていないと焦る分配可能額の計算を設問1で要求してくる②問題となる瑕疵が多く、分量が多い③現場思考を要する論点がいくつかある と、時間切れを誘う要因がいくつもある。

設問1では、分配可能額の計算に手間取り条文の指摘にとどまったうえ、自己株式取得手続そのものの瑕疵と総会決議の瑕疵を区別できていなかった。設問3では、462を指摘するだけで、欠損填補責任や任務懈怠責任に言及しきれなかった。

 

2 構成メモ

設問1前段

1.分配可能額(446,461Ⅱ,計算規則149)

→分配可能額は、変動がない限りその他資本剰余金+その他利益剰余金

→資料3によれば、分配可能額は5億円

にもかかわらずBに25億円を交付している

→財源規制違反(461条1項3号)

 

2.自己株式取得手続

160Ⅱの通知を怠ったこと

→160Ⅱ、Ⅲについては、161条、162条の適用除外規定がある。

本件で、甲社が株式1株の取得と引き換えにBに交付する金銭は市場価格の2.5割増しとされているから、161条の特則は適用されない。

また、本問ではBがAから相続した甲社株式を甲社が取得しようとする場面であるため、162条が適用されそうであるが、甲社は公開会社なので(162条1号)、162条本文の特則は本件において適用されない。よって、160条2項所定の通知をしなかったことがまず問題となる。

→自己株式取得の効力に直接かかわる自己株式取得手続違反であり、決議取消事由にはならない。

 

3.160Ⅳにより議決権を行使できない株主が議決権を行使したこと

→決議方法法令違反

裁量棄却を検討

 

設問1後段

1.分配可能額を超えた自己株式取得の効力

:有効説・無効説両論ありうる

→無効説が通説(財源規制の趣旨を徹底する)。この場合、Bの株式の帰趨(金銭返還と株式返還の義務は同時履行関係に立つか)を決めなければならない(採点実感)

※有効説は、原状回復義務(民法121-2Ⅰ)が同時履行関係になることをもって無効説を批判する。もっとも、無効説はこれに対し、462条1項が不都合性を解消する規定であることを再反論している。

 

※自分としては有効説でいいと考える。理由は以下の通り。

➀有効と解しても分配を受けた者が返還義務を負うことには変わりない。

②無効説に立つと、株式の売主は462Ⅰの義務を履行しなくても株主たる地位を失っていないことになるため、総会決議の効力に問題が生じうる。

③会社が当該株式を処分してしまった場合には決議の効力がさらに覆される可能性があり、法的安定性を欠く

→無効説は分配可能額を超えた自己株式取得の効力をめぐる問題を端的に解決できるものではない(田中)

 

2.自己株式取得手続違反があった場合の取得の効力

手続に瑕疵のある自己株式取得→原則無効。 但し善意無重過失の第三者に対抗できない

LQ292

 

3.総会決議の瑕疵と自己株式取得の効力

総会決議が取り消されない限り、自己株式取得は有効のままとなる。逆に、取り消された場合は株式の帰趨が問題となると思われる

 

設問2

1.自己株式処分無効の訴えによらなければ効力を否定出来ない

2.自己株式処分の無効事由に関する論証

3.今回は有利な処分価格での自己株式処分であるため、199Ⅱにより総会決議が必要

総会特別決議が取り消される→有利な価格での自己株式処分が決議なくしてなされたことになる

◇決議の瑕疵となりうる事由

⑴乙が決議に参加している点→831Ⅰ③の取消事由

持株価値の希釈化

⑵説明義務を尽くされていない点→831Ⅰ①

199Ⅲの説明義務:有利発行を正当化するだけの説明

314Ⅰの説明義務:議題に関する質問について株主を納得させるだけの説明

本件では、199Ⅲの説明義務は尽くされていたから、株主の質問について回答を拒絶したことについて314条1項違反があるかが問題となる。

→314Ⅰ但し書、及び会社法施行規則71条の拒絶事由があるかを検討

本件で乙に有利な処分価格(市場価格での80%の価格)での株式処分をした理由は、乙社との交渉の結果

これを明らかにしたところで甲社・乙社の企業秘密が明らかになることはないから、「株式会社その他の者…の権利を侵害することとなる場合」(規則71条2号)にはあたらない。

→説明拒絶事由は認められないから、説明拒絶は314Ⅰ本文に違反し決議取消事由を構成する

裁量棄却の余地もないので、決議は取り消されることになる

4.決議を欠く有利発行の効力

有効(判例)、つまり無効事由にはならない

以上より、本件自己株式処分は有効

 

設問3

1 自己株式取得について

⑴ 462条の責任

2項の注意義務を尽くせば責任は免れる

粉飾決算は極めて巧妙で会計監査人にも見抜けないもの

→誤った貸借対照表を前提にした自己株式取得であれば財源規制に反しないから、Cは注意義務を尽くしたというべき

⑵ 欠損填補責任(465)→但し書で免責の余地があることに言及

⑶ 任務懈怠責任(423)→諸法令違反 

法令違反はあるので、市場価格との差額5億円について賠償する責任を負う

2 自己株式処分について

任務懈怠責任(423)→諸法令違反 

逸失利益4億円を賠償する責任を負う                                  以 上

ロー入試のステメンは法律論文と同じように書けばいい?

 

お久しぶりです。

 

質問箱にて、ステメンどう書いたか参考にさせてくれとの質問が来ていたので、拙いながら私の経験を述べさせていただきたいと思います。

 

 

 自分は就活などを経験していないので、ステメンなるものをどのように書けばいいのか分かりませんでした。文章の書き方として知っているのは法的三段論法くらい。

 書く時間も限られてきた中、焦った私は「法的三段論法っぽく書くしかないか」と考えました。志望しているのはロースクールなので、法律文章を書いてもさしておかしくないだろう、と。

 

 というわけで、まずは「自分はこういう人間になりたい(要件)→だから一橋に行きたい(効果)」という大雑把な枠組みを考えました。

 次に、要件を具体化することを考えました。この具体化は、募集要項に書かれていたステメンについての説明を参考にしつつ、「そもそも法曹にならないと実現できないことなの?」→「法曹になるにはローじゃなくて予備試験ルートもあるけど、なんでローなの?」→「ローはいくつもあるけど、その中でなんで一橋なの?」という3段階のツッコミを想定することで行いました。

 結果的に、具体化された要件は、➀「目指す将来像が法曹になって初めて実現できること」、②「その実現には予備試験ルートより法科大学院ルートが適していること」、③「目指す法曹像は、一橋でこそ実現できること」の3つになりました。3つに順に答えることで、「自分の目指す法曹像は一橋ローに進学してこそ実現できる」という志望動機を説得的に述べられるというわけです。

 

 

 要件の具体化ができたところで、あとは➀②③をみたすというあてはめを書いていくことになります。

 ➀については、自分の経験をそのまま書き記しました。実現したい将来像が他の職種によっても実現できる場合、法曹になることが一番適切であることを述べる必要があるでしょう。

 ②については、「自分が法科大学院に適した人間である」ことを説明しなければならないと考えました。そこで、「法科大学院が求めるものを(=要件)、自分は持ち合わせている(=効果)」という論証を先にしました。そのうえで、ロールートには予備ルートにない利点があることを説明しました。

 ③については、➀で言及した目指す法曹像が一橋のポリシーに合致していること、他のローにない一橋の魅力を書きました。「他のローでも良くない?」というツッコミは返すのが非常に難しいので、厚く書いた方が良いです(面接で同じことを聞かれるので、しっかり考えておけば第三次試験でも役立ちます)。

 

 

 これでステメンの大枠が完成しました。あとは細かいところを煮詰めて仕上げです。他の人に見てもらうのもいいですが、突っ込みを想定してみることで自己添削はできると思います。

 

 

 

 

恥ずかしいですが、最後に自分の書いたステメンを貼っておきます(もちろん評価は不明です)。面接ではステメンに記載した事項も突っ込まれるので、丸パクリすると撃沈します。ご注意ください。

 

  1. 法曹を目指したきっかけ

私が法曹を目指したきっかけは、大学入学後に行った裁判傍聴でした。刑事事件公判で検察官が罪状を陳述したり若い被告人を諭したりする姿に、正義の体現者としての誇りを感じ、検察官への漠然とした憧れを抱きました。しかし検察官について調べてみると、冤罪や証拠のねつ造等により国民の検察に対する信頼は低下しているとの印象を受けました。私はかかる問題の生じる原因は、検察という一つの組織のみに所属していることから生じると考えました。そこで、私は弁護士職務経験制度を利用することで、捜査実務と人権感覚のバランスの取れた検察官になりたいと考えるに至りました。

  1. 法科大学院進学について

法科大学院では少人数での双方向型授業が行われ、残りの時間の大部分は自学自習に励むことになります。双方向型授業は各学生の参加なくして成立しませんし、授業のみでなく継続的な自学自習がなければ十分な学習効果は得られません。したがって、入学者は最低限以下のような適性を有することが求められると考えられます。能動的に参加する意志を有すること、継続的・計画的な学習が出来ること、他の学生と切磋琢磨しつつ助け合う姿勢をもつこと、の三点です。

 私は三年次に双方向型の演習授業を履修しましたが、他の学生が発言しないため、授業の成立が危ぶまれる状況でした。私はこれまでの学習である程度知識を付けたと思い込んでいたので、周りに先んじて先生の問いに答えるよう努めることにしました。そこでは知識の理解の甘さを厳しく指摘されましたが、それが学習のモチベーションをあげてくれました。周りの学生も段々と発言をするようになり、最終的にはかなり活発な演習となりました。この演習で、能動的に参加する姿勢が培われたと考えています。

 継続的・計画的に学習を行うことは、大学生活の後半になって身に着きました。大学の定期試験は内容が高度なため、高校と同じ感覚で臨んだ私の成績は芳しくないものでした。そこで、事前に目標とそこから逆算した計画を立てて取り組むようにしました。試行錯誤を繰り返したためすぐに成果としては表れませんでしたが、これを通して、法科大学院での2年の学習に堪えうる自分なりの方法を確立できたと考えています。

 私は自主ゼミを実施していく中で、協力を惜しまず友人の実力向上を支援しました。もちろん互いに競争心もありましたが、サポートも自分にとっての学習になりますし、何より友人の実力の向上が喜びであったため、自然と協力する姿勢が形成されました。この姿勢は、将来の同業者が集う法科大学院に適するものと自負しています。

 以上より、私は法科大学院進学志望者に最低限求められる三つの適性を有しているものと考えます。

 なお、現在法曹になる資格を得るには、他に予備試験を経由するルートがありますが、私は以下の理由から法科大学院進学を志望しています。

 第一に、実務家の先生方による教育が受けられるからです。法科大学院の段階で実務感覚を一定程度身に着けておくことは、司法試験・司法修習という、後に続く法曹養成プロセスをたどるにあたって大変有益であると考えます。

 第二に、同じ志を持つ仲間と切磋琢磨していく環境に身を置けるからです。大学ではなかなか法曹志望者を見つけられず自主ゼミを組むのにも苦労しました。法科大学院には優秀な同志が集うので、より有意義な学習経験が積めると期待しています。

  1. なぜ一橋大学法科大学院を志望するのか

 私が法科大学院の中で貴学を志望した理由は、以下の点にあります。

 第一に、実務を見据えた教育が充実しているという点です。貴学では単に知識や判例を単に学ぶのではなく、既知の事案から逸脱した場合にどう考えるべきかなども意識的に検討する講義が行われていると存じます。実務では日々未知の事例に立ち向かう必要があるところ、身に着けた知識を応用する力を涵養していくことは、法曹に求められる盤石な法的思考力に不可欠です。したがってこのような学習を日々行える貴学で、法曹としての素養を培っていきたい所存です。また、実務家の先生が多数在籍されておられるので、先生方による講義や学習アドバイス、法律相談クリニックへの参加を通じて、常に実務を意識し、モチベーションを維持しながら学習に励むことが出来ます。これは学生の数が少ないからこそ実現できる貴学ならではの魅力であると考えます。

 第二に、最も優秀な学生たちと共に学習する環境がある点です。貴学に集うのは志も実力も極めて高い人達なので、ともに学び、研鑽に励みたいと考えています。私も学部時代恥じずに発言してきた経験や自主ゼミを運営した経験を活かし、疑問点を積極的に提供したり、ともに学習する場を設けたりする形で貢献するつもりです。

 第三に、先生方と学生との距離が極めて近いことです。法科大学院は少人数教育を想定しているため、先生方と学生との近さはどの法科大学院についても共通していえることです。しかし貴学は一方で学生数が大変少なく、他方で先生方は多数在籍しておられます*1。そのうえ各先生が、学生との対話を通した学習に大変熱心でおられると存じます。これにより、先生方と学生との距離がどこよりも近い環境にあります。単に質問するだけでなく、何故その考えに至ったのかを説明することも、法的思考力を伸ばす練習になると考えているので、その距離の近さを活かし、学友や先生方との双方向のやり取りを伴う学習によって、法曹としての素養を身に着けていこうと考えています。

 以上です。よろしくお願いいたします。

 

                                    以上

*1:これは注意。一橋ローの学生在籍数は全国でも多い方です。実務家含め先生が多数いるというのは一応あっています。

「書き物入れ」を新設しました。

お久しぶりです。最近はなんだか良く分からない天気が続きますね。

 

今回の記事は単なるお知らせです。

 

自主ゼミ等を通して司法試験・予備試験を一通り解き終え、今は2周目の復習段階に来ているのですが、復習メモを書き残すのを忘れてしまったことが多く、やや復習に苦労しています。

 

そこで、自分への戒め(?)も兼ねて、復習メモ・書きなぐった起案を「書き物入れ」というアーカイブに残していくことにしました。これなら忘れることは基本なくなりますし、データを後で見返すこともできます。

…もしかすると、ブログをご覧になってくださっている方の学習のほんの一助にはなるかもしれません。*1

 

おそらくですが、本試商法→予備民訴→予備刑訴→本試行政→以下未定、の順でアップしていくと思います。学習スケジュールにもよるので現時点では確定していません。

 

保険をかけるという意味合いも兼ねてあらかじめ申し上げておきますが、アップするのはあくまで復習時のメモが殆どです。答案構成レベルにとどまるものが多いかと思います。手元に答案が残っている場合には、処分する前に記録しておくかもしれません。

また、内容の正確性は復習段階である程度吟味していますが、一受験生の貧相なリサ―チに基づくものであることをご了承ください。

 

アップされた内容について何か指摘がございましたら、コメントないし質問箱(できれば前者)でご連絡いただけますと幸いです。

 

                                   以 上

*1:当初は「紙ごみ入れ」という名前にしようと思っていましたが、一応その時は本気で書いているのでけなすのはやめようと考え、この名前にしました。完全なる余談です。

【使用教材紹介11】事例研究刑事法Ⅱ 刑事訴訟法

 

お久しぶりです。長引く外出自粛にもだんだんうんざりしてきましたね...

本日紹介するのは、こちらの教材です。

 

 

【教材利用の目的:論証の修正・実務見解からあてはめの相場観をつかむ・過去問演習後のステップアップ】

 

 刑事訴訟法の演習書というとメジャーなのは古江本ですが、私は論点についての整理よりもあてはめのしかたを学びたかったため、実務家も執筆しているこちらの本を選びました。なので、古江本の内容については残念ながら知らないままです。ではまいりましょう。

 

 この本の最大の特長は、前述の通り「実務家が執筆に参加している」という点にあります。

 完全な私見ですが、「あてはめ勝負」という受験界の言葉が一番妥当するのは、憲法ではなく刑事系だと思っています。*1

 すなわち、刑法・刑訴では多くの受験生が完璧な論証を書いてきますから、理論部分だけでは相対評価ではねるのが難しいです。そうすると、①事実を適示し②適切な評価を与えるだけでなく、③それが定立した規範との関係でどう評価されるかを丁寧に書くのが、高評価を得るために重要になってきます。...先生の請け売りですが。

 この本では、与えられた各事例において、学者からの視点のみならず「実務家なら事実をどう評価するか」という言及がなされています。出題者側が想定しているあてはめの相場をみることが出来るのです。判例を読み込んでいないのが悪いんですが、どうもあてはめの指針が分からんなあと思っていた私には非常に有用でした。

 また、あてはめについての解説が充実していることと関連して、結論までの一つの思考筋が示されているということも一つの特長です。演習書にありがちなデメリットとして、結論について明確な言及がないというものがありますが、この本ではその点がカバーされています。*2

 

 もう一つの特長は、各問題に関連する論点について充実した解説がなされていることです。職務質問別件逮捕強制捜査などの捜査段階の話から、訴因特定や変更といった公訴提起段階の話、そして違法収集証拠排除法則・自白法則・伝聞法則の証拠法の話まで幅広く記述がなされています。ここの記述がなかなか秀逸で、予備校テキストでは手が届かない部分まで掘り下げてくれており、学説・判例・実務の鼎立状況が分かりやすく整理されています(そのうえで、執筆者が妥当と考える見解も示されています)。私も読んでいて理解の誤りを認識することが多々ありました。国木先生の論証にも、事例研究に依拠していると思われる部分があります。理論面についてはリークエや古江本、緑本etc.の著名な基本書が存在するため、この本ならではの良さであるとまでいうことはできませんが、演習しながらしっかりした解説が読めるというのはなかなか便利です。刑訴を一周したばかりという場合は、解説だけざっと読むのもありかなと思います。問題数は14とそこまで多くありませんから、短時間で読むことができます。取り扱う分野の関係上、ローの刑事系授業ともシナジーが強いです。

 

 この本は記述のバランスが非常によいのですが、敢えて注意すべき点をあげるとすれば、「難易度が高いこと」「網羅性はやや低いこと」です。かすがい外しの起訴のような多面的思考を要する問題、基礎知識や判例理解を組み合わせて解かなければならない問題など、一周目の段階ではかなり骨の折れる問題が多く入っている印象です。また、事例の後ろについている課題についても時々「なんだそれ?」となるものが入っています(ローや図書館など文献にアクセスできる環境が必要です)。

 典型的な論点についても一定程度演習できますが、言及されていないものもあるので注意してください。この本に本格的に着手するのは、予備や本試の過去問を終えてからで十分と思われます。 

 

 

 

                                     以上

 

 

*1:*1:最近では、憲法についてもそれが誤った認識であることは浸透してきていると思います。

*2:*2:はしがきでは、事例の後ろについているのはテーマに関するコメントに過ぎず、問題解説ではないという主旨のことが書いてあります。しかし、実質的には前提知識の確認+問題についての解説という構成になっています。

【使用教材紹介10】マイナー教材?「ソクタン」民法の使い方を改めて考える(2020/9/29追記)

お久しぶりです。

国立でも桜がたくさん咲き、大学通りが一年で一番華やかな時期を迎えました。

 

今回の記事は、「改正民法の短答対策をしなきゃいけないけど、どの教材でやるべきか迷っている」という方に読んでいただきたいです。

 

本日紹介するのはこちらの教材です。

司法試験・予備試験 伊藤真の速習短答過去問 民法

司法試験・予備試験 伊藤真の速習短答過去問 民法

  • 発売日: 2019/10/01
  • メディア: 単行本
 

 


【教材利用の目的:年度別過去問演習の解説本】

 

 

1.マイナー教材のソクタン

 通称「ソクタン」といわれる教材で、伊藤塾が出版しているものです。しかし、短答過去問教材というとパーフェクト(通称パフェ)や肢別本が圧倒的なシェアを占めており、ソクタンを使用している受験生は周りをみてもほぼ皆無です。

 

 この教材では、本試と予備試験の短答のうち、受験生正答率が80%以上のものについてはフルスケールで・正答率60%以上のものについては「エッセンシャルノート」というまとめ形式で掲載されています。逆にいうと、それしか掲載されていません(総掲載問題数は200問もありません)。この構成が、本書の学習書としての位置づけを難しくしているように思えます。

 

 

2 なぜ自分がソクタンを選んだか

 短答対策の方法には2通りあります。①体系別のフルスケール本・肢別本を解き、過去問演習で仕上げる方法と、②年度別の過去問演習をしつつ解説をフルスケール本や肢別本で確認する方法です。

 ①は最終的な成果が大きく、王道ともいえる方法でしょう。やりきれば短答での高得点が見込め、苦手科目のカバーにも使えるようになります。余談ですが、ある先輩は肢別もパーフェクトも9割以上正解するまでやりこみ、本番では「見た事のない記述・結論は不正解とみなす」という凄まじい割り切りでほぼ満点を獲得していました。

 理論的にはスキのない方法ですが、旧司の問題など近年の出題傾向に合わないものや、事実上全く同じ知識を問うものも含まれているため、手段としては過剰な面が否めません。

 これに対し、②は1周での成長度合いよりも、繰り返しによる定着を重視します。年度別の演習であるため1回ごとに全領域を横断して復習することができ、知識のインプット・リカバリーのペースが速いのです。また、問題の重複は最小限しかなく、出題傾向から大きく外れない問題での演習が可能です。

 自分はかつて①の方法で予備の短答をなんとか突破しましたが、上記の理由から現在は②の方法をとっています。

 

 ②の方法によるとしても、本試・予備過去問全年度分を解くとなると時間は結構かかります。自分は取り急ぎ、予備のみを全年度解くことにしました。

 ①の方法を取った経験の中で、「複数の問題を解くコアとなる知識は頻出する」「10のうろ覚えより1の確実な理解」という、当然の事実に行きついていました。肢の組み合わせを答える性質上、迷いなく選ぶ・切るための知識があればよく、論文演習の時間を潰してまで全肢を完全に理解する必要はないということです。

 そこで、過去問の中でも正答率の特に高い問題・頻出の問題を重点的に演習したいと考えました。

 

この考えに一致していたのが、このソクタンというわけです。

 自分は年度毎に過去問を読み、その中でソクタンに載っている問題について解説を確認し、全年度を解き終えた後で、掲載分の中で間違えたものと、ソクタンに載っている残りの問題を解きました。いわば、ソクタンを解説本としてつまみ食い的に利用したわけです。

 

3 ソクタンの特長と注意すべき点

(1)特長

 最大の特長は「絶対に落とせない問題・知識だけ」が詰まっていることです。

 掲載問題数の少なさから、網羅性への不安や物足りなさを感じる受験生もいるかもしれません(それがシェアの低い理由だと思います)。しかし、②の方法で過去問との対応を確認すると、掲載されている問題が意外と多いことが分かります。

 民法の予備過去問については、本教材掲載分だけ正答できれば(エッセンシャルノート含む)、全年度で20点前後は取る事ができます。過去問については本教材だけで合格点前後に到達できるのです。本教材に載っていない問題についても、掲載されている問題に必要な知識を利用すれば解けることが多いです。

 また、①の方法でも1週間あれば1周が可能ですから、初学者にとって敷居が低いのもおススメできる点です。

 まとめると、短期間でボーダー付近まで到達するためのツールとしては最適であるということです。

(2)注意すべき点

 ⑴の言い換えに過ぎませんが、本書だけで「満点近い高得点」を狙うことは難しいです。

 構成上、難易度の高い(正答率の低い)問題は完全に省かれています。共同抵当や多数当事者間債権債務関係、遺言の方式などについてはフルスケール問題が載っていません。殆どは条文の理解に帰着するので、素読などにより知識を補充する必要があります。

 また、年度別索引がついていないのもマイナスポイントです。他の多くの教材はついているのですが、本教材のコンセプトとの関係で省かれてしまっています。

 ②の方法による場合は、対応関係を確認するのがちょっと面倒なので、過去問を読む段階でメモするといいでしょう。おそらく、次回の増版時で対応すると思われます。

 

 マイナーながら短期間での短答突破を可能とするポテンシャルを秘めたソクタン。本教材、過去問、六法で短答を突破できるか、身をもって確かめてみます。

 

(2020/9/29追記)

 令和2年度司法試験予備試験短答式試験の結果が返却されました。過去問、ソクタンと六法を利用し、2週間の対策で臨んだ結果、民法は22点でした(合格しました)。高得点ではありませんが、本試と異なり短答の点数は影響しないこと、相当難化していたことを考えると妥当なのかなとも思います。本試までにはもうちょっとやり込まないとダメですね。

 

 

                                   以上