One's Note

総論的勉強法・使用教材紹介・起案記録

本試平成27年民事訴訟法 構成メモ

 

1. 雑感

 設問1は、知っている部分(第一・第二の点)についてはその通り書けばいいのだが、第三の点は正直考えたことがなかったのでその場で理屈をこねくり回した。

設問2と設問3は「ロースクール演習民事訴訟法」に類題があるので、書ける人はしっかり書けるんだろう。配点が同じということは分量も大体同じくらいになるはずだが、設問2は設問3よりもだいぶ短くなった。

 

2. 構成メモ

 

【設問1】

1⑴ 平成3年判決が、本訴及び別訴が併合審理されている場合においても別訴請求債権を自働債権とする相殺の抗弁を不適法とする理由は、弁論の分離(152Ⅰ)により判断が区々となって既判力が矛盾抵触するおそれが否定出来ないからである

しかし、反訴については本訴と同一手続内で審理され、弁論の分離(152Ⅰ)が禁止されると解される→本訴請求権及び反訴請求権について合一的に審理がされることが保障されるから、本訴判決及び反訴判決が確定したとしても、両者の既判力が矛盾抵触するおそれはない

⑵ 反訴での請求が本訴における相殺の抗弁との関係で予備的反訴に位置づけられた場合、相殺の抗弁につき既判力ある判断がされたならば、反訴での請求については審理されないから、反訴原告が享受する利益は前者のみとなる また、相殺の抗弁につきそのような判断がされない場合には、相殺に供した反訴請求権の存在が認められないということになるから、反訴原告がそれについて債務名義を得ることはない

 よって、平成3年判決のいう二重の利益の享受は生じ得ない

⑶ したがって、平成18年判決と同様の事例である本件において反訴請求債権を自働債権として本訴請求債権と相殺する抗弁を適法と解しても、平成3年判決とは抵触しない

2⑴処分権主義に抵触しない理由

ア 処分権主義の一般論証→処分権主義に抵触するかは①反訴原告の合理的意思に合致するか②当事者にとって不意打ちとならないか、という観点から検討

イ たしかに、予備的反訴として扱われることによりYの意思にかかわらず審理の順位を決定されることになる

しかし、Yとしては反訴請求権につき簡易迅速かつ確実な回収が行えればよい→反訴で請求認容判決を得られる場合はもちろん、本訴で相殺の抗弁が認められることにより反訴の審理なくXの請求を免れることのいずれであっても、Yの合理的意思には合致しているといえる(①)

 また、Xの損害賠償請求権は、請負契約に基づく報酬請求権との関係では代金減額請求権としての側面を有する→相殺の抗弁が認められようが本案判決を得ようがXにとって利益となるし、そのような処理がなされることはXYの予測の範囲内(②)

 したがって、平成18年判決がいうような取扱いをしたとしても処分権主義には抵触しない

⑵反訴被告の利益を害しない理由

 反訴請求について本案判決を得ることによる原告の利益は、反訴請求権の存否について既判力のある判断を行ってもらうことにより、以後当該請求権を行使されることを防止することにある

もっとも、相殺の抗弁が認められれば114Ⅱで反訴請求債権の不存在について既判力が生じることから、反訴請求について本案判決を得なくてもその後に反訴請求権を行使されることは防止できる 

したがって、訴えの変更の手続きを要せずして予備的反訴として扱われても、反訴被告の利益が害されることにはならない

【設問2】

1⑴ 第一審判決を取り消してXの請求を棄却する旨の判決が確定した場合には、XtoY損害賠償請求権の不存在につき既判力が生じるが(114Ⅰ)、YtoX報酬請求権の存否に関して既判力は生じない

⑵ 第一審判決が控訴棄却判決により確定した場合、XtoY損害賠償請求権の不存在のみならず、相殺の主張に係るYtoX報酬請求権の不存在についても既判力が生じる

⑶ 両者を比較した場合、前者の判決をすると第一審判決が控訴棄却によって確定した場合と異なり、Yは別訴においてXに対し改めて報酬請求することができるようになる これは許されるのか

ア 不利益変更禁止の原則、一般論を展開

イ 控訴審が1⑴の判決をして確定した場合、XはYtoX報酬請求権について改めて請求をされ得る地位に立たされる これは第一審判決との関係で不利益変更にあたるから、許されない

2 控訴審としては控訴棄却判決によって第一審判決を維持するべき

【設問3】

1 Yの主張

不当利得返還請求が認められる要件は、①利得②損失③①と②の因果関係④法律上の原因がないこと

YはXに対し請負契約に基づく報酬請求権を有しているところ、XのYに対する損害賠償請求権を受働債権とする相殺により、Xは請負代金の支払を免れる一方(①)、Yは請負代金の請求が出来なくなっている(②) ①と②との間には因果関係が認められるところ(③)、XのYに対する損害賠償請求権は存在していない以上相殺は認められないはずであるから、Xの利得には法律上の原因はない(④)

2 既判力に関する検討

⑴ 前訴の訴訟物→債務不履行(契約内容不適合)に基づく損害賠償請求権 後訴の訴訟物→不当利得に基づく損害賠償請求権なので、両者は同一ではない

もっとも、不当利得返還請求権の発生要件④に照らすと、後訴の訴訟物は前訴の訴訟物である債務不履行に基づく損害賠償請求権が不存在でないと認められないことになる

→2つの訴訟物は実体法上両立しない矛盾関係にある

→前訴確定判決の既判力は後訴に及ぶ

⑵ 相殺を主張した者が受働債権について免れる一方で、相殺後に自働債権を行使することができるという二重の利益を享受することを防止する必要がある

→114Ⅰにより、受働債権であるXtoY損害賠償請求権の不存在につき既判力が生じ、114Ⅱにより、自働債権であるYtoX報酬請求権の不存在につき既判力が生じると解する この既判力はXY間について生じる(115Ⅰ①)

⑶ YtoX報酬請求権の不存在について既判力が生じる結果、後訴裁判所はYによる不当利得返還請求が認められるか審理するに際し、YtoX報酬請求権が存在しないことを前提にすることになる

→Yの損失を基礎づける事実について不存在であることを前提とするから、②が認められずYの請求は認められない

3 以上より、Yの請求は114Ⅱにより認められない             以上