One's Note

総論的勉強法・使用教材紹介・起案記録

本試29年商法 構成メモ

1. 雑感

 現場思考の少ない堅実な問題だと感じた。設問1が設立に関するもので、地味に出題の少ない分野のためギクッとしたのは内緒。設問2は書くべきことが非常に多く、瞬時に構成できないと設問3で詰む(最悪、決議瑕疵のうち代理行使の部分は書かないか簡潔に書いてもいいかも)。設問3は端数株買取請求・反対株主の株式買取請求を書けば足りるが、前者は知らないと書けない。逆に知っていれば2つとも条文適用で終わるのだが、こういうところこそ問題提起→条文要件呈示・要件解釈→あてはめ・結論という書き方を徹底するのが重要だと思う。

2. 構成メモ

 設問1(1)

1

⑴ まずは、設立中の会社と成立後の会社の同一性について論証

⑵ 発起人の権限の範囲について論証。その後、事務所の賃貸借契約と事務員雇用契約が設立のために事実上必要とされる行為にあたることを述べる(開業準備行為の定義にはあたらないはず)

⑶ これに要した費用は「設立に関する費用」(28④)に該当するため、定款に記載があれば会社に帰属

 甲社の定款には設立費用につき80万円とする記載があるが、本件で債務の合計額は100万円である

  このように設立費用が定款記載額を超えている場合、債務が会社と発起人のいずれに帰属するか問題となる

  判例は定款記載額の限度で会社に帰属し、超えた分について発起人に帰属するとする

  しかし、どの債権者が会社に請求できるのか不明確であるため支持しえない

  そこで、定款記載額を超えている場合には、一切が発起人に帰属し、債務弁済後各発起人が記載分について会社に請求できるとすべき

2 甲社は請求を拒める

 

 設問1(2)

1 定款記載なき財産引受けの効力と追認の可否

 判例は否定しているので、それに従って端的に否定するのが答案戦略上ベター。

 

2 事後設立

 総会特別決議が必要。

 

設問2

1訴訟要件―原告適格に注意(831Ⅰ柱書後段、234Ⅰ)

※端数株ときたら234に気を付ける

2 

(1)Kによる議決権代理行使

ア Kは乙社の株主ではないのに、議決権を代理行使している 310Ⅰの存在から、議決権代理行使を株主に限る定款の定めの有効性が問題になる

→有効。

イ Kの議決権行使は定款に違反するか

 Kは1200株を有し乙社の経営にも関心を有していると考えられるから、総会かく乱の防止という定款の趣旨が妥当しない

→定款に違反しない

よって、Kが議決権を行使したことは決議の瑕疵を構成しない

(2)甲社の議決権行使

 甲社が特別利害関係株主にあたることを述べる。株式併合により甲社以外が議決権を失うため、支配権を獲得するという他の株主と共通しない利益を得る。

「著しく不当な決議がされた」→当該決議により他の株主に著しい不利益が生じること。上記と同様の理由で、他の株主は議決権を失うという不利益を被る

→議決取消事由になる

(3)Lの議決権行使拒否

Lは基準日時点で名義書換未了の株主であるため、130Ⅰが相続による株式取得にも適用されるなら行使拒否は相当

しかし、相続を「譲渡」と同視するのは難しい 相続の場合には議決権行使につき空白が生じるおそれあり+事務処理便宜を図る要請に乏しい+174条により関係簡易化が可能

→相続には適用されない(「譲渡」に相続は含まれない)

とすると、Lの議決権行使拒否は105Ⅰ③違反であり、831Ⅰ①に該当

他の株主に係る瑕疵の主張の可否についても言及忘れないこと。

議決権行使の侵害は重大→831Ⅱの余地なし

 

※この構成を採るのはいいのだが、I・Lの居住実態等問題文に記載のある事情を使うことがないため若干気になる。

(4)併合理由の説明の欠缺

180Ⅳの「必要となる理由」の内容について意義を展開(例えば、株主が株式併合の妥当性を判断するに足りるのに必要となる重要な事項など)。それに本来の目的も含まれていたことを述べ、180Ⅳ違反を認定。831Ⅰ①該当のため裁量棄却(831Ⅱ)が問題となるが、その余地はないだろう

 

※特定の株主のみが議決権を行使できるようにする株式の併合は株主平等原則に反するとして、決議内容の法令違反を理由とする株主総会決議無効確認の訴え(830)についても言及しうるが、分量上かなり厳しい。

 

 設問3

1 株式の併合により生じる端数株の処理(235Ⅰ,Ⅱ・234Ⅱ,Ⅲ,Ⅳ,Ⅴ)について論じる 出題趣旨に言及はあるが、気づかないとかなり思いつきにくい。

2 それに加え、株式の買取請求(182-4)を論じる。本問では議決権が行使できる立場にありながら、不当拒絶により行使できなかったLが反対株主(182-4Ⅱ①)に該当するかが問題になる

→Lは通知をしていることから、総会においても反対したことが合理的に推認できる+不当に拒絶した乙社は、信義則上Lが1号に該当しないことを主張できない

(②に該当しない)

→該当する

→株式買取請求可

 

                                                                         以 上