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予備試験・司法試験教材備忘録、日ごろの勉強についての記録

一橋ロー入試対策⑤ 第二次選抜編(2)(2020/6/6追記)

こんにちは。

 

今回も第二次選抜についてです。科目ごとの傾向などについてお話ししたいと思います。以前後輩向けに書いたメモ書きをコピペしました(手抜き)。 自分よりよっぽどいい成績で合格している方も多数いますが、ひとまず情報提供をば、という考えです。

あくまで主観的な評価ではありますが、解答に要求される要素を10段階(1→10の順で水準が高くなる)で、科目別難易度を★()~★★★★★()で示しました。これらは受験者の多いロー(東大・京大・早稲田・慶應・中央)を基準(レーダーで5、難易度で★★★)としています。

 

1-2-1 憲法 ★★★(平均的)~★★★★(やや難)

判例知識:8

条文知識:5

現場思考:5

出題範囲:7

処理速度:7

 

(1)“予備試験を踏襲した出題形式

事例が与えられ、小問1で原告の主張を、小問2で被告の反論と私見を書かせる予備試験と同様の形式が続いています。

古い年度では、第一問で人権、第二問で統治という出題がされたこともありますが、ここ数年は上記形式に沿っており、この傾向は今後も続くものと思われます。

出題の多くは、百選レベルの判例と類似するもののどこかにひねりがある事例です(一応元ネタはあるものの地判レベルであり、知っていることは要求されません)。当該事例において重要判例の射程が及ぶのか、及ばないとすればどう判断するのかを問うています。時間制限がやや厳しいので、途中答案にならないように気を付けましょう。

(2)対策のためのおススメ基本書・参考本

 『基本憲法Ⅰ―基本的人権』木下智史、伊藤健 日本評論社

インプットに有用。統治分野は載っていないので注意

 『読み解く合格思考憲法』玄唯真 辰巳法律研究所

判例の使い分けや、三者間型答案の書き方がとても分かりやすく載っている。  第一部の「憲法答案の書き方」は一読の価値あり。

 

 

公法系処理戦略

 前述したが、憲法では百選レベルの事例とどこかが異なる事例で判例の射程が妥当するのか検討させる問題が出ます。したがって、解答にあたっては重要判例を想起し、それが分かっていることを答案用紙に示すことが大前提です(これはローの教授がおっしゃっていた)。ここの検討と構成は時間がかかるため気を付けましょう。答案構成時間は30分前後にしておきたいです。主張・反論・私見という大枠は決まっているので、問題を読む中で各事実を原告側と被告側に振り分け、判例の射程が及ぶかどうかについては私見のところでしっかり論じることを意識すべきです。

 

1-2-2 民法 ★★★★(やや難)~★★★★★()

判例知識:5

条文知識:7

現場思考:9

出題範囲:8

処理速度:6

(1)”癖の強い応用問題、動向に注意

 「典型的な事例とは少し事情が違うが、これによって結果がどう変わる?」というのを聞いてくることが多いです。具体的には小問1で典型問題、小問2で事情が違う場合、といったかたちです。また非典型譲渡担保やサブリース契約などを出題したこともあり、受験生からすれば何とも厄介な出題をしてきます。典型問題を落とさない、守りの姿勢が要求されます。

 どのような問題にも対応できるよう、生の主張(反論)→法律構成→法律要件充足性検討→結論というしっかりとした思考回路を持つことが肝要でしょう。

 なお、平成31年度は今までの傾向と異なり、基本的な問題のみの出題となりました。これは民法改正及び早期卒業生への配慮でしょう。ここから改正民法施行までは、こちらの出題傾向にシフトする可能性も考えられます。いずれにせよ、基本を着実に抑え、少し事例が変わったらどうなるのかを考える訓練が重要です。

(2)対策のためのおススメ基本書・参考本

『読み解く合格思考民法』菅野邑斗 辰巳法律研究所

…答案の書き方を学ぶのに有用。条文の趣旨に立ち返って規範を定立していく方法は、一橋ローで出される応用問題にも有効である。収録されている旧司法試験の問題も良問ぞろい。

『趣旨規範ハンドブック②民事系』辰巳法律研究所

…論点確認用。一橋ローで出題された論点は大体載っている。論証集ではないので、別途論証の形で整理する必要がある。

 

1-2-3 民事訴訟法 ★★(やや易)~★★★(平均的)

判例知識:8

条文知識:7

現場思考:4

出題範囲:7

処理速度:4

(1)”もっとも良心的

 事例問題形式。百選レベルの判例をベースにした典型的な問題が多く、最も良心的な出題といえるでしょう。ひねりも少なく真正面から聞いてくるので、基礎をかっちりと固めておけば解答は十分可能です。逆にその分野について理解が不十分だった場合、とたんに書き負けることになります。出題分野に偏りがないので、管轄などの細かい分野を除きしっかり学習しておきましょう。

(2)対策のためのおススメ基本書・参考本

『基礎からわかる民事訴訟法』和田吉弘 商事法務

…民訴のインプットに最適。個人的には一周目はリークエよりこちらを薦めたい。ただし言葉の定義が若干曖昧なので、趣旨規範ハンドブックなどで逐一確認。

Law Practice民事訴訟法 第3版』山本和彦、安西明子、杉山悦子、畑宏樹、山田文 商事法務

…「解く」というより読んで論点を理解し収集するための本。百選判例も触れることが出来る。

 

◆民事系処理戦略◆

民法2問と民事訴訟1問で135分という時間が与えられますが、民法で時間を取られます。皆それなりに書ける民事訴訟法で書き負けると厳しいです。

設問ごとの配点は1:1:1、すなわち民法:民事訴訟法=2:1です。そこで、民事訴訟法から先に解き、余った時間で民法をしっかり書いていくという戦略も一手ではないでしょうか。

 

1-2-4 刑法 ★★(やや易)~★★★(平均的)

判例知識:5

条文知識:5

現場思考:4

出題範囲:7

処理速度:5

(1)”書き負け注意

 スタンダードな事例問題形式です。第一問で総論、第二問で各論といった形で出題されることが多いです。

総論分野では正当防衛や共犯が頻出。各論分野では、窃盗や強盗よりも後ろの方の分野が出題されやすい傾向にあります。論点自体は典型的なものばかりなので、各分野のAランク級論点は押さえておきましょう。私見ですが、詐欺・恐喝・横領・文書偽造・公務執行妨害あたりは今後の出題可能性が高いように思います。

難易度自体は平均的で時間的にも厳しくはないので、周りの受験生に書き負けないように注意しましょう。

科目ごとの足切り制度が新設されたところ、この第一問が足切り基準の機能を果たしている可能性は高いです。

 (2)対策のためのおススメ基本書・参考本

『呉基礎本シリーズ1,2 刑法総論・刑法各論』呉明植 弘文堂

…インプット本として最適。論証パターンも収録。

『基本刑法Ⅱ 各論 第2版』大塚祐史、十河太朗、塩谷毅、豊田兼彦 日本評論社

…特定の分野についてより詳細に知りたいときはこちらを参照。作者は詐欺以降の分野についてこちらを使用した。

 

1-2-5 刑事訴訟法 ★★★★★()

判例知識:5

条文知識:9(2020/6/6修正,7→9)

現場思考:10

出題範囲:7

処理速度:4

(1)”ロー入試屈指の難易度

 一橋ローで最も癖が強く、そして難しいのが刑事訴訟法です。受講した予備校講座では、「完全答案を作る、という意味での難易度は予備試験や司法試験を超える」とまでおっしゃっていました。

出題形式も特殊です。近年は判例文の一部の抜粋が載せられており、それに関する問題が複数出される形が多いです(一度過去問をご覧ください)。内容としては、刑事訴訟法の改正にかかるものや現状での問題意識、刑事訴訟法を貫く諸原則についてのものが頻出する印象です。受験生が考えた事がないような問題なので、まずは問題に関連する最低限の理解(条文、制度趣旨)を示すことを意識しましょう。そこからは現場思考で問いに答える努力をすれば、相対評価で大きく負けることはないと思います。

(※2020/6/6追記:2020年度はまた出題傾向が異なっているようです。純然たる事例問題ではなく、刑事訴訟手続自体の趣旨・内容・要件・効果を問うものでした。)

 やはり同期に聞いても「なに書くべきかわからなかったから条文から考えて作文したわ」との声が多いです。自分も例にもれずそうでした。

(2)対策のためのおススメ基本書・参考本

『呉基礎本シリーズ3 刑事訴訟法』呉明植 弘文堂

…一周目に。この本でなくてもよいが、とにかく二周目以降に高度な知識を入れ込むための「器」を早く作り上げることがポイントである。

『刑事系TOPが作った刑事系論証講義』国木正

BEXAにて販売中の論証集。呉基礎本の論証をこれで修正する中で理解をブラッシュアップさせていく。

(※2020/6/6追記:事例問題の出題が稀であるため、論証自体よりも背後の理解を習得するという意味で有益です。)

刑事訴訟法入門 第2版』緑大輔 日本評論社

一橋大学の教授が執筆された基本書。示唆に富む記述で、この問題意識の持ち方は一橋ローの出題傾向を探るヒントになるだろう。

※2020/6/6追記:『リーガルクエス刑事訴訟法(第2版)』宇藤ほか 有斐閣

…刑訴におけるスタンダードな基本書。論点に対する解説はもとより、勾留・保釈や公判前整理手続といった諸手続について押さえるにもピッタリ。ただし独学での一周目には向かない。

 

◆刑事系処理戦略◆

試験日の最後に実施されるので、疲れが溜まっている中で問題を解くことになります。刑法で書き負けないようにするのがなにより大事。刑法を先に解き、精神的に安心したところで刑訴に臨むことをお勧めします。

刑事訴訟法の難易度について脅しに近い文言を使ってはいますが、「合格レベルの答案を書く」のは決して難しくはないと思います。最低限を書くことだけ意識してもらえれば十分です。

なお付け焼刃的戦略ではありますが、一橋ローの公式サイトから教員欄にとび、先生方がどのような論文を執筆されているのか見てみるという手もあります。先生方の抱いている問題意識が問題に反映されている可能性もあるため、直前期のヤマはりに使えるかもしれません。

 

次回は第二次選抜実践編についてお話しします。

 

 

 

                                    以上