One's Note

一橋ロー入試対策情報・司法試験過去問・修習雑記

一橋ロー入試対策③ 第三次選抜編

こんにちは。研究室に朝から夜までこもる日々が続いています。

さて、今回は第三次選抜についてお話しします。

 

第三次選抜は、東大ローや京大ローには存在しない面接試験です。

毎年10人程度が不合格になるので、法律科目試験を突破しても油断はできません(知人にも第三次選抜で不合格になった人がいました)。したがって、まったくの無対策で臨むのはリスキーです。

 

受験生が知りたいのは、端的に言って「どんなことが聞かれるのか」と「NG回答は何か」でしょう。

これを知るにはネットに出ている再現が参考になるのですが、古いものばかりなのが現実。ということで、筆者が受験した際の面接再現を書き起こしておきました。面接を受けた日の帰りの電車で書いたので、再現精度は相当高いです。

 以下が再現です。★は例年聞かれている質問、◆は今年度のアドリブ質問。

 

(A先生 ほぼ真顔)
★では、---さんは法科大学院に対してどのようなことを期待しますか。
―はい、法科大学院は、同じ志を持つ仲間と共に、既存の法律に関する理解を盤石にし、現実に起こりうる未知の問題に法律家として立ち向かっていく力を培う場であると考えます。
したがって法科大学院に対しては、法曹としての基礎的能力、未知の問題に立ち向かう姿勢を育成する場を提供してくれること、そして将来仲間となる法律家となる者と出会う場を提供してくれることを期待しています。
●(何度かうなずく)…「未知の問題」とありますが、具体的に取り組んでみたい問題などはありますか。
 ―そうですね…例えば最近、GPS捜査が違法である旨の判決が出ましたが、あのように、時代の変化に伴い生じてきた法律が想定していない問題や、これまでの考え方が時代に合わなくなってきているのではないかという問題に取り組んでみたいです。
★(若干首を傾げつつ、何度かうなずく)では、一橋大学を志望した理由はなんですか。
 ―はい、貴学を志望した理由は二つあります。第一に、実務を見据えた教育が他の法科大学院より充実しているからです。私は学生なので、このまま司法試験に受かれば社会経験がないままに実務に出るじゃないですか。となると、実務感覚を身に着けておくことは、法曹としての信用の基礎になります。したがって、その教育の充実性は大事なポイントだと考えているわけです。
第二に貴学の、先生方と学生とが一体となって、互いに切磋琢磨し一橋をより良いものにしていこうという雰囲気に強く魅了されたからです。これは、先生と学生との距離が他の大学院に見られないほど近いからこそ醸成されるものだと思います。切磋琢磨していく環境でこそ自分は大きく成長できるので、貴学で学びたいと切に感じました。
★あなたが一橋大学に入学して、周りの学生、あるいは一橋大学に貢献できることは何かありますか。
―はい、授業内と授業外のそれぞれで貢献できることがあります。まず授業内では、PS記載の通りゼミでたくさん発言してきたことから、議論において臆さず積極的に参加し議論の場の活性化に資することが出来ます。
授業外では、学部時代自主ゼミを運営していたので、その経験を活かし、授業外で共同して学習する場を提供することが出来ます。(ここで自主ゼミの話を聞いたとき、にわかに紙に何か書き始めた)
●…自主ゼミ、というのは何人でやりましたか。
―3人です。
●具体的に何についてやっていましたか。
―ええと…ここでいうのは憚られるんですが、予備試験論文の過去問をやっていました。
●予備試験論文は、何科目やりましたか。
―全科目です。
★…なるほど。では、入学後も予備試験を受験するつもりはありますか?
―いいえ、私は予備試験を受験するつもりはありません。
●…そうですか。結構、在学中に受ける人は多いんですけれどね。(なぜか二人とも笑う)…あなたは、在学中は受験されないんですね。それはなぜですか?
法科大学院の学習は大変と聞くので、予備試験の対策との両立が困難だと思うからです。せっかくこれほど恵まれた環境にあって、両者を中途半端にするぐらいなら腰を据えて司法試験を目指したいと考えています。。
●…なるほど。わかりました。では、B先生、お願いします。

(B先生 ほぼ笑顔)
●…えー、成績表の方を拝見させていただいたんですけれども、そのー…成績にはムラがあるようですね笑。私は刑法担当なので、特に刑法の成績が気になるんですが、これについて何か言い訳はありますか。
―ありません笑。まだ本格的に法律についての勉強を始める前だったので、全然理解が出来ていませんでした。
●…ああ、なるほどね笑。…まあ、本格的に勉強始めた後でも成績にはムラがあるようだけどね笑。何か苦手科目とかはある?
―刑事系が苦手ですね…検察官志望なんですが…
●そうですか笑。でも刑事系苦手でも検察官になれた人はいますから、入学後は刑事系の授業をぜひ頑張っていただきたいです笑。
―もちろんです、精進します。
◆…では、関係ない話になりますが、最近外国人の受け入れ拡大法案が可決されましたよね。日本に来る外国人が増えれば、外国人による犯罪などの問題も生じてくる可能性がありますが、この問題について、法曹にはどういった役割が求められると思いますか。
―えーと…それは検察官として、ということでしょうか。
◆…検察に限らず、ここでは法曹ということで。
―そうですね…彼らは日本においてはマイノリティ、弱者の地位に立たされるわけですから、違法労働や差別などには厳格な態度で臨み、彼らに寄り添うことが求められると思います。
◆うんうんなるほど。では、そのためにはどういった姿勢、能力が必要になると思いますか。
―まずは語学力だと思います。言語はコミュニケーションの基礎ですから…
◆語学力か笑。もちろんそれも大事になってくるけれど、何かこう…法曹固有の能力についてはどうかな。
―法曹固有…となると、文化の違いを理解し中立的な立場から物をみる能力が必要だと思います。ステレオタイプな見方は彼らの救済につながらないからです。
●なるほどね。わかりました。A先生は大丈夫ですかね。…では、これで終わりです。
―本日はありがとうございました。失礼します。

 

 

筆者受験時の面接再現は以上です。毎年聞かれる質問、という点が気になると思うので、筆者がかき集めた面接過去問から頻出の質問をまとめておきます。回答に際し気を付けるべき点についても書いておきますのでお役立てください。


①なぜ一橋を志望したか。
―当然聞かれます。素直に答えればよいと思いますが、「それなら他のロー・予備で良くない?」というような内容は避けるべきです。
②あなたが一橋に来て貢献できることは何か。
毎年必ず聞かれる質問。一橋は先生・学生に関係なく一人ひとりの距離が近く、互いに協力していく雰囲気(=先生方の言葉を借りれば、“共助”)を大切にする校風があります。この点に貢献できることを示すことが望ましいです。「授業内での積極的な発言ができます」は誰しもが考える回答ですが、別に加点にも減点にもなりません。合格者の一人になるといったものではなく、同学者と切磋琢磨しつつ学習していく意欲があることが重要です。自主ゼミを運営した経験などがあるとかなり話しやすいと思います(再現参照)。

※「来てもらう側の人間に対し貢献出来ることを問うとは何ごとだ」という趣旨の批判が多い名物の質問です(笑)。試験は試験と割り切って答えましょう。

法科大学院に期待することは何か。
―最初に質問されやすいです。予備ルートにはないメリットを強調出来ればよいでしょう。

④予備試験は受験したか。今後の受験予定はあるか。
受験の有無や合否は面接の採点に影響しません。入学後の受験を予定していると答えてもそれだけで減点にはならないでしょうが、法科大学院における学習と両立できるのか、といった問いには答えられるようにしておきましょう。

⑤最近気になっている事件や判決はあるか。
―法曹志望としてアンテナを張っているかが見られます。付け焼刃で答えられるものでもないので、普段から関連ニュースに気を付けておくしかありません。

⑥国際化が進む社会において法曹に求められる役割は何だと思うか。
毎年あるアドリブ質問に共通するテーマと思われます。一橋のディプロマポリシーにおいて、国際的に活躍できる人材の育成が掲げられていることから、この点を重視していると考えられます。あくまで「法曹」固有の能力として何が要求されているかを考えましょう。

 

なお、同期から話を聞く限り、面接には穏やかタイプ・標準タイプ・圧迫タイプがあるようです。

筆者の面接はおそらく標準タイプですが、この差はもっぱら面接を行う先生によって生まれるものであり、第二次選抜までの成績にそこまで関係がないとみています。穏やかタイプで落ちた人も、圧迫タイプで受かった人もいるからです。

 

面接がはじまって圧迫的だなと思っても、落とすつもりで聞いているわけではないということを忘れずに落ち着いて回答してください。

 

次回はいよいよ天王山の第二次選抜について書きます。

 

【追記】

面接時の服装に指定はありませんが、殆どの人がスーツでした。カバンなどはなんでも大丈夫だと思います。

 

 

 

                                     以上