【使用教材紹介4】呉基礎本シリーズ 刑事訴訟法
本日紹介するのは、この教材です。
といっても、刑事訴訟法でテキストに悩む人は少ないと思いますが...
【教材利用の目的:一周目のインプット・一元化】
この教材についても、1周目のインプット用教材として利用しました。
呉本に共通して言えることですが、図説が多いことが特長です。刑訴でも難解とされる伝聞証拠も図説ですんなり分かります。
また新設された制度(公判前整理手続、被害者参加制度etc)や細かい手続についても言及されているため、刑法よりは短答への対応性が高いといえます。
私はささっと1周目を終わらせてしまい、あとは演習書で仕入れた知識などをこの本に書き込んで一元化しています。
さて、この本を使用するにあたって注意すべきことは、①試験で書くには問題のある記述がある点、②本質的部分に関する記述が省かれている点、です(これは刑事訴訟法の予備校テキストに共通することですが)。
①について。演習書の解説やリークエを参照したあとにこの本を見ると、「?」と思うところがチラホラ出てきます。
筆頭に挙げられるのが、「証拠能力が認められるためには①自然的関連性があり②法律的関連性があり③証拠禁止に当たらないことが必要である」という記述。
学習済みの方はご存知でしょうが、①②③は「証拠能力が認められる要件」ではありません。「証拠能力が否定される場合を列挙したら、①自然的関連性がない場合②法律的関連性がない場合③証拠禁止に当たる場合 という3つの観点に分けられました」という話です。これは基本書ではしっかりと記述されていることです。伝聞証拠の問題が出た時に、上記のような要件先出し的記述をすると大火傷します。
…したがって、1周目以降は論証パターンをアップデートする必要があります。これも勉強にはなりますけどね。
②については予備校本の宿命です。様々な諸原則の沿革や、そしてその原則がどのような形で表れているかについては、紙面上大部分が割愛されています。
この点は本試や予備試では別段問題ありません。この本もこれらの試験を想定しているため、ある意味当然です。
しかし、一行問題などで本質的な部分を問うてくるロー入試などでは結構困ります(京大ローや一橋ローの問題はモロに刺さります)。したがって、ロー入試を検討している方は他の本を適宜参照する必要があるでしょう。
初学者向けとは言いにくいものの、内容面でこの本を上回る基本書としてリークエが存在します。業界でスタンダードなのはこっちです。
1周目・論証ストック用に呉本。論証修正用・辞書用としてリークエ。この併用が一番いいかもしれません。
以上